大日寺は少し山の中に入り込んだ所にあった。リュックを背負った歩き遍路さんを何人も追い抜いた。早朝に一番寺の霊山寺を出発した人たちなのだろう。
広い駐車場には車が1台しか停まっていない。前の寺で一緒だった人たちは、もう参拝を終え、次のお寺へ向かってしまったようだ。旅人のペースは相当に遅いようだ。
朱色の山門が辺りの緑に映えて美しい景色を作っていた。お寺の前にはきれいな川も流れている。いい雰囲気のあるお寺だ。
お寺に参る前にスケッチすることにした。スケッチしていたら、すぐ横にワゴン車が停まった。ワゴン車から手ぬぐいを頭に巻いた親父さんが、降りて来て、夏みかんの詰まった箱を運び出している。テーブルも下ろしている。今からここで商売を始める雰囲気だ。お遍路さん相手の露天商売のようだ。四国ではこういう商売も成り立つのだ。
先程追い抜いて来た歩き遍路さんたちが、やって来た。皆、汗をびっしょりかいている。この強い日差しの中では、歩くのは本当に大変だ。「これどうぞ」と露天の親父さんが歩き遍路さんたちに、夏みかんを差し出していた。こういうのをお接待というのだそうだ。歩き遍路さんには、疲れを癒してくれる有難い差し入れだ。
スケッチを終え、本堂へお参りした。般若心経を詠んだが相変わらず難しいお経だった。しばらくして、がやがやと騒がしくなってきた。団体さんがやって来たようだ。
納経所で朱印を貰った。ここにもドライヤーが何台も置かれている。もう少ししたら、団体さんたちが、先を争ってこのドライヤーを使う光景が見られるのだろうか。その前に旅人は納経所を後にした。
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