熊野古道 牛馬童子
熊野古道中辺路の箸折峠近くに熊野古道のシンボル的存在になっている石像がある。牛馬童子である。二頭の牛にまたがったその姿に出会ったのは今から七年ほど前になるだろうか。そのかわいらしい姿が強く心に焼き付いている。今日は、どうしても逢いたくてやって来た。
よく整備された古道を歩き始める。平日というのにたくさんの人が歩いている。皆、目当ては、牛馬童子なのだろうか。熊野古道が世界遺産に指定され、古道の整備は急速に進んでいるようだ。
歩き初めて二十分。目指す地点に到着した。薄暗い木立の中に、牛馬童子は静かに立っていた。姿は七年前と少しも変っていなかった。スケッチを終えた。七年前に描いた絵と表現方法が似ているように思った。不思議だった。 またいつの日にかここを訪れたいものだ。
青岸渡寺と那智の滝
熊野三山の一つ那智大社の横に青岸渡寺がある。ここは西国三十三ヶ所巡礼の一番札所である。一昨年四国八十八カ所巡りを経験した。再び四国八十八カ所巡りに挑戦しようと思ってるのだが、なかなかその時間が取れずいる。西国三十三ヶ所巡りなら時間も短くて済みそうなので、こちらにしようかなと思案中である。もしそうなれば、この寺から第一歩が始まるのだ。そんなことを考えながらお寺をお参りした。
お寺の境内から、勇壮な那智の滝が見える。絵になる風景だった。季節は2月。山々の杉の木立が黄土色に変色している。花芽が付いているのだ。今年も花粉が大量に飛びそうである。間もなくその季節が始まる。
那智の滝
「那智の滝前」に到着。時刻はまだ午前八時を過ぎた所である。ようやく開いた駐車場に車を止める。駐車料が五百円とは、びっくりした。
鬱蒼とした杉林の道をしばらく歩くと、正面に壮大な那智の滝が現れた。高さ一三三メートル、一気に落下する滝としては日本一だという。
この滝がもつ自然の驚異は、人に神を感じさせる。その昔、この地に那智大社や青岸渡寺が作られたのも理解できる。自然への畏敬の念というのはこういうことなのだろう。
神子さんが忙しそうに掃除を始めた。社務所から滝壺まで行けるようになっている。滝の拝観料は三百円。
石段に座ってスケッチを始めた。明るい日差しが大滝を照らしている。うっすらと虹もかかっていた。今日もたくさんの人がこの滝をお参りに来るのだろう。
橋杭岩
紀伊半島を一路南下し、串本町に入った所で、不思議な光景が飛び込んで来た。鋭くとがった大きな岩が海に向かってずらりと並んでいる。国の天然記念物に指定されている橋杭岩という景勝地である。
お坊さんの姿に似た岩もある。「弘法大師が一晩で作ったという伝説が残っている」と、駐車場にいたおじいさんが教えてくれた。「実際の所は、堆積岩の中に埋もれていた硬い岩の部分が、海に侵食される中で残されたのだよ」とそのおじいさんは詳しく説明してくれた。このおじいさんは、観光ボランティアの仕事をしているようだった。
スケッチしている間にも、観光バスが何台も止まり、観光客が記念撮影をしていた。あのおじいさんは、橋杭岩の説明に大忙しだった。
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Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。