神岡の街中に、高原川に架かる赤い橋がある。藤波橋といい、昭和7年に完成したものだというから、神岡の町の歴史をほとんど知り尽くしている橋だ。年季の入った橋である。
しかし、そのずっと昔、ここには、今では伝説になっている「藤橋」という藤の蔓で作った吊り橋があったそうだ。深い谷にかかる吊り橋なので、たいへん恐ろしい橋だったという。
150年ほど前、その藤橋にまつわる戦国時代の悲劇が「藤橋」という謡曲となり、現在も、その謡曲は、「藤橋会」というグループによって謡い継がれている。昨年「藤橋会」は、新しくできた「船津座」で発表会を開いた。
現在、藤波橋は、藤波八丁という散策路の出発点になり、歩きに来た人たちを見送っている。この橋は、これからも神岡の歴史を刻んでいく。
クリックすると大きくなります