昨夜、思いがけないことがあった。岩手のおじいさんが同じ道の駅に宿泊したのだ。「明日の出発を考えると、この道の駅が1番近いのです」と、おじいさんは物静かな口調で話していた。地図をよく調べ、慎重に行動している様子に感心する旅人だった。
夜が明けた。昨夜、寝汗をかいたこともあり、体調は、今一つの感じだ。岩手のおじいさんも起きているようだ。車の横を通ると、薄暗い車内におじいさんが座っているのが見えた。よく見ると、仏壇に向って手を合わせていた。おばあさんに祈っているのだろうか。おじいさんは「同行三人」でお寺を巡っているのだと思った。
次の札所「龍光寺」へ向けて出発した。小さな踏切が見え、警報機が鳴っていた。宇和島へ向う予土線だ。しばらくすると、たった一両のディーゼルカーが走り抜けて行った。旅人が住む細入の風景に似ていた。
愛媛県に入ってから、お遍路寺の案内表示がよく目立つようになり、安心して走って行ける。行政が力を入れているようだ。迷うことなく龍光寺に到着した。
鄙びた感じのするお寺だ。お遍路さんがたくさんお参りしている。このお寺は、三間町にあるのことから「三間のお稲荷さん」と呼ばれているそうだ。お遍路さんの中にも、商売繁盛や開運出世を祈願している人が、たくさんいるのだろう。
大師堂をスケッチした。お寺の屋根や屋根を支える梁など、独特な様式で建てられている。大師堂の横には、石灯籠、石塔、お地蔵さん、キツネの石像など並んでいる。本堂の前にもいろいろな石像が並んでいる。このお寺は本当に賑やかだ。

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