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水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

団塊世代の親父のブログです。
水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記 TOP  >  2008年07月

四国お遍路の旅 第五十二番札所 太山寺(たいさんじ)

  石手寺のお参りを終えてから、道後温泉に入浴した。岩手のおじいさんも一緒だった。道後温泉は、お寺のような屋根が幾重にも重なり歴史を感じさせる建物だ。番台で入浴料300円を払って中へ入る。東風呂と西風呂の2ヶ所がある。どちらも同じ作りで、大きな湯船が真中に一つあり、簡素な造りだ。昔の銭湯というイメージだ。透明なお湯で、入ると肌がつるつるになった。旅人の住む細入村にある温泉のお湯に似ていると思った。
  岩手のおじいさんは、今日は松山市内を見学するという。旅人は、さらに先へ進む予定だ。もう、おじいさんに会うことはないようだ。旅人は、おじいさんが、お遍路が無事終了し、元気に岩手へ戻ることを祈りながら、おじいさんと別れた。
  松山市内の渋滞する道を走り、太山寺に到着した。歴史を感じさせる立派な本堂が建っている。お参りを済ませ、本堂をスケッチした。「お前さん、どこへ腰掛けて絵を描いているのかい。井戸の所に腰を掛けていてはバチが当るぞ」と掃除に来たおじいさんから怒鳴られた。何の疑問もなく、これは具合がいいと、井戸の淵に腰を掛けていた旅人だった。怒鳴られて初めて、それがいけないことだったと気付いた。穴があったら入りたい気持ちだった。
  子どもの頃、大人たちからいろいろ言われたことを思い出した。「敷居は跨いで通りなさい」「靴は、きちんと揃えて脱ぎなさい・・・」その中に「井戸には神様が住んでいるのですよ」と井戸をお参りしたこともあった。常識的なことを、かなり欠落させたまま、この年まで生きてしまったようだ。自分の子どもに常識が欠けているのは、仕方のない話なのかも知れない。非常識を深く反省した旅人だった。
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[ 2008/07/31 08:31 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第五十一番札所 石手寺(いしてじ)

  石手寺は道後温泉の真ただ中にある大きな寺である。お寺の参道には、土産店がずらりと並んでいた。「ここがお遍路寺ですか」と、勘違いするほどだ。道後温泉を訪れた人たちが足を延ばし、この石手寺へお参りに来ているようだ。
  石手寺の歴史は古く、728年聖武天皇の勅命で伽藍が建てられたことが始まりだという。翌年、行基が薬師如来を刻み、それを本尊とし、安養寺と名付けたが、100年ほど後、弘法大師が巡錫し、真言宗に改めた。それから80年ほど後、石手寺と改名された。楼門は国宝、本堂、三重塔、護摩堂、鐘楼、銅鐘、五輪塔などは重要文化財に指定されている。
  納経所隣にある茶堂が、たくさんの参拝客で賑わっている。香盤には線香が山のように積み上げられ、朦朦と煙を上げていた。
  本堂は、参道を真っ直ぐ行った正面にあった。その手前に、立派な三重塔が建っている。塔の前には、千羽鶴が何百も並び、「人命尊重」という大きな看板が立っていた。「イラク戦争で命を亡くした犠牲者を慰霊する」という大きな表示もある。人と人が殺し合うことを止めなければ、「人命尊重」はない。このお寺は、「イラク戦争反対」を強烈にアピールしていた。大切なことを、このお寺は訴えていると思った。お坊さんの勇気に拍手を送りたい気持ちだった。
  本堂と大師堂でお参りした。旅人は、愛媛に入った頃から、お経の終わりに「南無大師遍照金剛、願くばこの功徳を以って普く一切に及ぼし我等と衆生と皆共に仏道を成ぜん」と祈るようになっていたが、このお寺からは「世界が平和でありますように」という願いも祈ることにした。
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[ 2008/07/31 08:27 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第五十番札所 繁多寺(はんたじ)

  繁多寺は、浄土寺から2kmほどの所にある。お寺とお寺の距離がこのくらいだと、歩き遍路をしていても楽しくなりそうだ。歩き遍路が多い訳だ。時間があれば、歩き遍路に挑戦してみたいのだが、余裕がないので残念だ。
  繁多寺に到着した。車から降りると、岩手のおじいさんの車が入って来た。一緒にお参りに行くことにした。山門を抜け、境内へ出た。境内が広いのには驚いた。その境内の向こうに本堂や鐘楼、大師堂などの建物が並んでいた。境内を横切り、まず本堂へお参りに行く。
  線香を立て、ロウソクを立て、納札を入れ、賽銭を入れた。岩手のおじいさんも同じ手順だ。般若心経を詠み始めた。「お経は人に聞いてもらうものではない。お経は大きな声で詠む必要はない」と、どこかのお寺で話している人がいた。それからは、旅人は、お経は自分に聞こえるほどの大きさで詠むことにしていた。おじいさんのお経も、自分にしか聞こえないほどの小さな声だった。
  それから、大師堂へ行った。大師堂が終わると、「別のお堂も参ってきます」と、おじいさんは出掛けて行った。旅人は、納経を終え、広い境内でスケッチをした。スケッチが終わる頃、おじいさんが帰って来た。「一生懸命お参りしているのですね」と言うと、「最初の頃は、お参りも本堂と大師堂でした。でも、お寺を巡っている内に、お堂や、お地蔵さんもお参りしていこうという気持ちになりましてね」とおじいさんは答えた。それに比べて、旅人は、お経がすらすら詠めるようになり、今では5分ほどで終わっていた。やはり、旅人は俄か遍路の域を脱していないようだ。
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[ 2008/07/30 12:49 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十九番札所 浄土寺(じょうどじ)

  朝のラッシュで混み合う道を浄土寺へ向う。浄土寺は西林寺から3kmほどの距離にある。道を歩くお遍路さんを何人も追い抜いた。愛媛に入ってから歩き遍路さんの数が多くなっているようだ。
  浄土寺へ到着した。立派な仁王門がドンと構えている。仁王様の前の柵には、たくさんの草履が引っ掛けてあった。お遍路さんが奉納した草履のようだ。悪霊や疫病神を追い払うために草履を奉納するのだそうだ。仁王門にある巨大な草履は、「こんなに大きな草履を掃く仁王様がここにはいるのだぞ」と悪霊たちを威嚇するために置くのだそうだ。
  境内へ入ると、正面に鄙びた感じの本堂が建っていた。灰色の瓦屋根が印象的な建物だった。500年以上も昔に建てられたもので、現在は国の重要文化財になっているという。
  大師堂をスケッチしていたら、お遍路さんが、次から次へとやって来た。その中に岩手のおじいさんの姿を見つけた。岩手のおじいさんも旅人の顔を見つけ、ニコニコしている。久しぶりの再会だった。「豊橋の青年も元気でしたよ」とおじいさんは教えてくれた。今日は、おじいさんとまたどこかのお寺で一緒になるのだろう。
  お参りを済ませ、納経所へ行った。夫婦連れが何組か列を作っている。その中に、作業着姿の男性がいた。どこかのお寺でも同じ作業着を見たことを思い出した。どう見てもお遍路さんではない。その男性は、掛け軸に朱印を貰うと、去って行った。どうも、男性は、掛け軸に朱印を貰うためだけに、このお寺へやって来ているようだ。朱印が全部揃った掛け軸を販売する商売が、あるのかも知れない。
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[ 2008/07/30 11:33 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十八番札所 西林寺(さいりんじ)

  「道の駅 ひろた」の横を自転車通学する中学生の一団が走って来る。白いヘルメットをきちんと被り、制服もピシッと着て、一列になっている。だらだらした所が全く感じられない。「おはようございます」と大きな挨拶をしながら、旅人の前を通り過ぎて行った。「きびきびしていて、気持ちがいいですね。今時、珍しい中学生たちですね」と、大宮から来ている親父さんも感心していた。そういえば、ここの道の駅は、他の道の駅と少し違った所がある。普通なら設置してある、ゴミ箱や自動販売機が全くないのだ。しかも、掃除は行き届き、ゴミ一つ落ちていない。道の駅も生半可ではないのだ。広田村は、大人たちもビシッとしているのだ。すがすがしさを感じさせる村だった。
  西林寺へ到着した。山門を入ると、一人の若者が絵を描いていた。はがきにペンで描いている。たくさんのお遍路さんが、彼のスケッチを覗きこんでいた。「上手いですね」という声も聞こえて来る。本当に上手な絵だ。今まで描いたペン画も、ストックブックに入れて、展示してある。「ペン画はこう描くのですよ」と彼は、自信満々で描いている。プロの絵描きなのだろうか。「一つのお寺で1日過ごすことにしています。何枚も描くから、そのお寺の建物はほとんど描きますね」と若者は答えた。一つのことを徹底してやるということが大切なのだ。それに比べて、旅人は実にいい加減なスケッチを描いている。深く反省した旅人だった。
  お参りを済ませ、お寺の山門をスケッチした。山門の向こうでは青年がペン画を描いている。旅人は、久しぶりに緊張しながらスケッチを描いた。「このお寺には、絵描きさんがここにもいるのだ」と言いながら、お遍路さんが旅人の横を通り過ぎて行った。
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[ 2008/07/29 14:53 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十七番札所 八坂寺(やさかじ)

  午後5時少し前、八坂寺に到着した。納経所終了まであと数分。何とか間に合ったようだ。団体さんの一団が、マイクロバスから降りて来た。彼等も皆あわてている。「午後5時、納期所終了」という決まりは、どのお寺でもかなり厳格に守られているようだ。
  納経を終え、お参りに行く。団体さんと一緒のお参りになった。彼等を案内しているお坊さんに、どこかのお寺で会ったような気がするのだが思い出せなかった。静かな境内に、般若心経が響き出した。お経はよく揃っていて、大きくなった小さくなったりしながら、旅人の体にも響いて来る。線香の白い煙が、合掌している人たちの間をゆっくりと流れて行った。
 境内にあるベンチに座り、スケッチを始めた。すぐ前で、若いお坊さんが掃除をしている。お寺の一日もそろそろ終了するのだろう。気が付くと、黒い物が目の前を飛び交っていた。やぶ蚊に囲まれてしまったようだ。旅人は急いでスケッチを仕上げると、その場を退散した。不思議だったのは、若いお坊さんが、平然と掃除をしていたことだ。彼だって、やぶ蚊の攻撃を受けているはずなのに、どうして平然と掃除を続けてられるのだろう。「心頭を滅却すれば、蚊もまた涼し」ということなのだろうか。実のところは、「虫除けスプレーをしっかり塗っていた」ということなのかも知れない。
  八坂寺のお参りを終え、松山市内から15kmほど山へ入った広田村にある「道の駅ひろた」で野宿した。大宮から四国旅行に来ていた夫婦連れと一緒になり、その夜は、楽しい晩餐になった。その夫婦連れは、旅人が住む細入村にある温泉にも、立ち寄ったことがあるという。旅の話は深夜まで続き、少々寝不足の一夜となった。旅することは素晴らしい。
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[ 2008/07/29 10:11 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十六番札所 浄瑠璃寺(じょうるりじ)

  岩屋寺から次の札所「浄瑠璃寺」へ向けて走り出した。時刻は午後2時を過ぎている。どこかで食事をと思っているのだが、山の中を走る道なので、店は見つからない。
  かなり走った所で、ようやく小さな食堂を見つけた。駐車場は車で一杯だ。繁盛している店のようだ。さぞかし美味しい料理を食べさせる店なのだろう。店の中はお客さんで満員だった。メニューには、丼物や麺類が並んでいる。旅人はラーメンを注文した。
  店の奥では、2人のおばさんが切り盛りをしている。その様子を見て、少々がっかりした。料理を作る動作が、きびきびしていないのだ。だいぶ待ってから、注文したラーメンが運ばれて来た。案の定、化学調味料が一杯入ったどうしようもないラーメンだった。どうしてこの食堂が満員なのか、不思議だった。もう一つ不思議なことがある。ラーメンの値段が530円なのだ。500円とか525円なら理解できるが、530円とはどういう計算なのだろう。いろいろと疑問が残る食堂だった。
  険しい山道を下る。三坂峠という所で、曲りくねった下り坂が続く。土佐街道最大の難所という。後ろからトラックに追い立てられながら、無事、松山市内へ入った。ここから少し道に迷ったが、無事、浄瑠璃寺に到着した。車遍路も大変であった。
  時刻は午後4時を過ぎていた。山門から境内に入る。静かな境内だった。このお寺は、奈良の大仏開眼に先立ち、行基が仏教布教のためこの地へ立ち寄り、ここに伽藍を建立したのが始まりだという。西暦708年というから、長い歴史のあるお寺だった。
  お参りを済ませ、本堂をスケッチしていたら、やぶ蚊に襲われ、あっという間に二箇所ほど刺された。スケッチも早々に退散することにした。お遍路には、虫除けスプレーも必需品のようだ。
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[ 2008/07/28 16:12 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十五番札所 岩屋寺(いわやじ)

  岩屋寺は、説明書には、「岩をくり抜いた所にお堂がある」とあり、そそり立った岩肌にお堂が建っている写真の紹介もある。ずっと山を上って行かないと着けないお寺のようだ。
  駐車場に車を停め、参道を上って行く。予想していた通り、険しい道が続いている。石段の所で、おばあさんが休んでいた。「まだまだ、ここは始まったばかりだよ」と旅人に話してくれたのだが、そういう声は、旅人にではなく、自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
  石段を団体さんが下りて来た。皆、ニコニコしながら歩いている。話し声も聞こえ、余裕たっぷりの感じだ。一方、旅人の方は、息が上がり、挨拶する余裕もない。帰り道は、あの団体さんのような表情で歩いてやろうと思ったが、それにしても辛い上り道だった。
  階段を上り詰めた所に、岩屋寺はあった。説明書通り切り立った崖にへばりつくようにお堂が建っている。本堂の銅版の屋根が葺き替えられたばかりで、ピカピカ光っていた。その奥に梯子があり、崖の上へ上って行けるようになっている。ここから300mほど上った所に大師の行場があるそうだ。
このお寺の本尊は、不動明王で、それも2体あるという。一つは木像で、本堂に納められているが、もう一体は石像で、山に封じ込め、山そのものを本尊とし、それが岩屋寺と名前が付いた由来だそうだ。岩屋寺は、寺名に相応しい場所にあった。
  帰り道は、自然と足が前へ出て、上って来るお遍路さんに笑顔を振り撒いた旅人だった。
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[ 2008/07/28 10:18 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十四番札所 大宝寺(たいほうじ)

  明石寺から次の札所「大宝寺」へは約90kmの道のりがある。四国のお遍路道では、窪川町の岩本寺から足摺岬の金剛福寺の距離に次ぐ長さだという。車で走っても2時間以上掛かりそうだ。
  国道56号線を大宝寺へ向けて走る。小さな商店の店先で、お遍路さんが休んでいるのが見える。お遍路さんの顔を見て驚いた。顔がまだら模様になっている。日焼けでめくれた皮膚とそうでない皮膚がまだら模様を作っていたのだ。伊予の国は「菩提の道場」というが、まだお遍路さんには、「修行の道場」が続いている。
  大宝寺に到着した。山深い所にあるお寺だ。駐車場にはたくさんの車が停まっていた。車を停めようとすると、停まっていたタクシーの運転手が、「ここも駐車場だが、山門の横にも駐車場があるから、そこへ行きな」と教えてくれた。教えてもらった道を上って行くと、見事に山門の横へ出た。そして、そこには小さな広場があった。知る人ぞ知る駐車場なのだろう。お陰で、600mという長い坂道を歩かないで済んだ旅人だった。「富山」ナンバーの人のよさそうな親父だと思って、親切にしてくれたのかも知れない。
  お参りを済ませ、納経も終えた。「少しは歩かないとバチが当るぞ」と、参道を少し下りてみた。巨大な山門の屋根が、参道に覆い被さるように見えている。そこをスケッチすることにした。旅人の横を、お遍路さんが汗を流しながら上って行った。90kmを歩き通したお遍路さんは、この道を、どんなことを考えながら上って行るのだろうか。
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[ 2008/07/27 19:45 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)

四国お遍路の旅 第四十三番札所 明石時(めいせきじ)

  仏木寺から30分ほどで明石寺に着いた。駐車場にはたくさんの車が停まっている。観光バスも何台かある。愛媛県に入ってから、お遍路寺が賑わっている。
  参道を歩き、石段を少し上ると、石段の先に立派な山門が見えて来た。屋根には赤瓦が使ってある。赤い屋根を見たのは、このお寺が初めてだ。石段を上り詰めると本堂があった。本堂も立派で、ここの屋根も赤瓦で拭かれ、柱も朱色に塗られていた。今はくすんで歴史を感じさせる建物だが、出来た頃は、真っ赤な光を放っていたのだろう。
  団体さんのお経が終わってから、旅人はお経を詠み始めた。般若心経の最後の部分で、息継ぎの仕方がよく分からなかった所が、すらすら詠めるようになっていた。旅人にとっては、団体さんは、大切な先生になっているようだ。
  納経所へ行くと、納経帳が山積みになっていた。受付のお坊さんが、大忙しで納経帳に朱印を押している。愛媛のお寺は、繁盛しているようだ。
  山門をスケッチしようとしたが、石段に隠れて、山門全体が見えない。そこへ、カメラをもった親父さんがやって来た。山門を狙ってシャツターを押している。「残念だね。もう少し後ろへ下がれたら、山門が全部入るのに」とぶつぶつ言っている。「私もそう思っていたのです」と旅人が言うと「絵なら、描けるのではないの」と、親父さんは不思議な顔をした。「私は見た通り描いているから、カメラと同じですよ」と言うと「なるほど。絵も写真も一緒か」と親父さんは分かったような顔をして去って行った。旅人も、山門はあきらめ、本堂をスケッチした。
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[ 2008/07/27 09:50 ] 四国お遍路 愛媛県 | TB(0) | CM(0)
プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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