
F4サイズ 235×332mm
三年前の秋、この茅葺屋根の家と畑を描いた。この日の風景は、その時と本当によく似ている。茅葺屋根の家の前には白いトラックが止まり、道の脇に立つ架稲には稲が干されている。その足元の畑には、ハクサイがダイコンに代わってはいるが、青々とした野菜が植わっている。
茅葺屋根の家は、毎年同じ風景をつくっているように見えるが、今年、大きく変わったところがあった。それは、畑の周りに柵が設けられ、電線が張られていたことだ。イノシシの被害が年々大きくなっていて、こうした防衛柵を取らないと収穫は激減してしまうそうだ。
こうした動物の被害は、里山から人が去って山や畑や田んぼが荒れ始め、動物と人間の境界線が失われることによって、生み出されているそうだ。里山は、深刻な時代を迎えている。対策はあるのだろうか・・・。
この茅葺屋根の家に住む人も高齢のようだ。旅人は、来年もこの風景が見られることを願いながら山之村を後にした。