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細入から国道360号線を走り、河合町角川に到着。山中和紙を作っている家は、角川から少し山手に入った所にあった。「いなか工芸館」という看板がかかった立派な建物である。
2階に作業場があり、一人のおばあさんが紙を漉いていた。おばあさんの名前は柏木さんという。柏木さんは気さくな人で、仕事の手を休めて、紙作りの工程を親切に説明してくれた。
どろどろにしたこうぞの皮にトロロアオイの汁を混ぜることを初めて知った。 1枚の和紙ができるまでにはたくさんの工程を経ないといけないことが分かった。 「こうぞの皮の寒ざらしはどこでやっているのですか」と質問すると、仕事を中断して、その場所まで案内してくれた。
こうぞの皮は、柏木さんの家の広い畑にびっしり並べてあった。「不思議なもので、こうぞの皮を雪にさらすと白く漂白されるのですよ。これがいい和紙を作るためには一番大切なことですかね」と説明してくれた。
スケッチを終え、再び工芸館に行く。山中和紙はいろいろなものに加工されていて、工房には製品がいくつも並べてあった。丸い形の電気スタンドカバーは面白いアイデアだと思った。 「先日子どもたちと紙隙をやったのですが、その紙で卒業証書を作ることになっています」と教えてくれた。
山中和紙は鎌倉時代に始まった伝統産業とのこと。昔は、たくさんの家で作られていたが、今では、河合町ではたった二軒になってしまったとのこと。柏木さんの家では、息子さんが跡をついでがんばっているそうだ。これからも大切な伝統産業を守り続けていってほしいと思った。