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笠寺観音の西門を入ると、すぐ横に、三つのお堂が仲良く並んでいる。西から、「行者堂」、「延命地蔵堂」、「白山社」の三つである。江戸時代に書かれた「尾張名所図会」には、「白山社」が描かれていることから、この中で一番古い建物は「白山社」のようである。
この絵の「延命地蔵堂」には「地蔵菩薩」が奉られているという。この日も、お堂の前で手を合わせてお参りするおばあさんを見かけた。そういう旅人も、お地蔵様には手を合わせる。お地蔵様は、馴染み深い菩薩様である。
10年ほど前のことになるが、「10月に行われる七所神社のお祭で、この地蔵堂の前で熱田神楽の演奏があるから見に来てほしい」と友人から誘われた。友人の娘さんが、日頃から練習してきた篠笛の演奏をするのだという。
熱田神楽は、前夜祭で奉納された。地蔵堂の前に舞台か組まれ、着飾った巫女さんの舞や神楽の演奏が行われた。舞や演奏は素晴らしいものだった。
この地域には、熱田神楽笠寺保存会が結成されているそうだ。熱田神宮に伝わっていた伝統ある神楽を、守り続けているという。友人の娘さんも、篠笛を1年間、毎週行われる練習会に参加し、ようやく演奏できるようになったということことだった。笠寺地区に伝統ある神楽が伝わっていたことを初めて知った夜だった。今年の祭りでも、友人の娘さんは篠笛を吹くという。娘さんは、熱田神楽を伝える側になっているのかも知れない…。