
猿倉社
猿倉山の山頂に小さな社があり、猿倉社と表示がある。社は、大正三年に地元の人たちによってここに建てられたが、建物の傷みがひどく、現在の社は、昭和五十六年に再建されたものだという。
この社が建てられた時のいきさつが語り継がれているので紹介しよう。
「昔、船峅南部にはよく霧がかかり、苗の生育時期に大事な陽がささず、不作続きでした。思いあまった村人たちは、猿倉山頂に霧除けの神を奉ろうと相談。地元の大工柳瀬宇太郎、柳瀬源太郎、久野木刀次郎の三人が祠を建立。
翌年(大正四年)の七月二十五日、山本政次郎という人が飛騨吉城郡上宝村早保(はややす)から円空菩薩に写した二十五菩薩を奉斎したところ、霊験著しく、霞がかからなくなり、五穀豊穣の地帯となったということです。」(おらっちゃの大沢野ハイパー風土記)
今も、七月二十五日には、この社の前で、帝龍寺のお坊さんによって霧の害を払う祈祷が行われているという。