片路峡 薄波の野仏その2
薄波のお地蔵さんの足下で神通川に合流する長棟川には、舟倉用水の取り入れ口がある。
江戸時代末期、ここから下流域にある舟倉野(大沢野)は、干ばつが続き、飢饉に見舞われていた。大沢野を流れる神通川は、水を満々と湛えているのだが、谷が深く、高台の舟倉野地域には水を引くことが出来なかった。
この地域を治める加賀藩は、舟倉から16km近く上流にあるこの長棟川から水を引く計画を立て、用水建設に着手した。鑿や鏨を使い、険しい断崖にトンネルを掘り、幅1.5m、深さ90cmの水路を切り開いて行った。
工事は難航を極めたが、20年余の年月を経て見事に舟倉用水は完成した。
薄波のお地蔵さんはその時のことを覚えているのだろうか。
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Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。