駐車場に車を止め、まずは売店へ直行した。カウンターにいた店員さんが、すぐに近寄ってきた。「お遍路を始めるのですか。それは、それは・・・」と店員さんは慣れた手つきで巡礼用品を揃え始めた。
「納経帳は大き目の方がいいですよ」「菅傘は大きい方がいいですよ」「数珠は長い方がいいですね」「杖は、お経入りですね」と店員さんに勧められるままに、巡礼用品を購入した。金額は2万円を超えた。お遍路を始めるのにもお金が掛かるのだ。
「お参りの仕方は、ここに詳しく書いてあります」と店員さんに説明を受ける。そこへ、「30日掛かって八十八ヶ所のお参りを終えました」と坊主頭の男性がやって来た。顔は日焼けで真っ黒だった。「ご苦労様でした。どうぞお茶を」と店員さんは私への説明もそこそこに、その人と話出した。男性は、お遍路道を歩き通したようだ。すごい人がいるものだ。
すっかり白装束のお遍路姿に変身した旅人は、第1番札所「霊山寺」の本堂へ行った。慣れない手つきで、ロウソクと線香を立て、般若心経を、声を出して詠んだ。お経には振り仮名が付けてあるので、それを詠んでいけばいいのだが、生まれて初めて詠む般若心経はたどたどしいものだった。続いて大師堂でも同じようにロウソクと線香を立て、般若心経を詠んだ。お遍路の旅が本当に始まったのだ。
その後、雨の中でお寺をスケッチした。何とかスケッチは完成させたが、絵は雨の中で描くものではないと思った。
午後5時になり、この日は終了。宿泊は、そこから1時間ほど車で走った土成町にある道の駅に野宿した。近くには町の温泉施設もあり、旅の汗を流すことができた。四国最初の夜は、激しく降る雨の音の中で更けて行った。

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