桂浜へ通じる海岸沿いの道を走る。真っ青な太平洋が行く手に広がっていた。大きな浦戸大橋を渡ると、橋の下が桂浜だ。寄り道することにした。
広 い駐車場には観光バスや自家用車がたくさん停まっている。さすがに高知の観光名所だ。土産物屋が並ぶ道を歩き、坂本竜馬の巨大な銅像が立つ浜辺へ出た。凛々しい顔の坂本竜馬が太平洋を睨んでいた。
旅人は、30年ほど昔のことを思い出した。仲間たちと高知で開かれた教育研究集会に参加したのだ。大阪港から船に乗り、高知に向っていた。もうすぐ高知港という時、船のデッキからこの銅像を見つけたのだ。凛とした竜馬の銅像をみて、「自由民権運動発祥の地へやって来た」と、坂本竜馬のような気持ちになっていた自分を思い出した。旅人が若かりし日のことだ。
雪蹊寺は桂浜からしばらく走った所にあった。何と、桂浜からこのお寺へ向う道でも、旅人は迷った。「お寺の案内標識を当てにしながら走る」という、安易な気持ちは捨てなくてはいけない。「これからは、地図でしっかり道を確認してから走ろう」と旅人は思った。
本堂と大師堂をお参りした。本堂は屋根も柱も壁もピカピカ光っていた。新しく建直したのだ。お寺を建替えるには、相当なお金が必要だ。このお寺は繁盛しているのだろう。大師堂をスケッチしていたら、体にだるさを感じた。発熱しているようだ。スケッチもそこそこにして車へ戻った。持って来ていた「富山の風邪薬」を飲んだ。効いてくれればよいのだが・・・。旅人にとって、土佐は「修行の道場」そのものになっていた。

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