讃岐の国分寺である。これで四国すべての国分寺をお参りしたことになる。仁王門を抜け参道を進むと、両脇に石仏がずらりと並んでいる。石仏は四国八十八ヶ所のお遍路寺の本尊を刻んだものだという。「お遍路に出掛けなくても、ここで一番寺から八十八番まで順にお参りしていけば願いが叶います」ということなのだろう。お遍路代行業がある世の中、代行屋に頼むくらいならと、ここでお参りするお遍路さんもいるのだろう。しかし、この場所にある88体のご本尊に本気になってお参りしたら、般若心経が3分としても・・・半日は裕に掛かりそうである。お遍路はいずれにしても大変である。
本堂へお参りに行く。大きな屋根がある立派な建物だ。鎌倉時代に建てられたものだという。お堂の前で大きな声でお経を上げているお遍路さんがいた。郷照寺で見掛けた夫婦連れだった。お経が終わり、夫婦連れは階段を下っている。先ほどは気付かなかったのだが、奥さんは体が不自由そうだった。歩く時に足を少し引きずっている。親父さんは、奥さんが階段を下りるのを心配そうに見守っていた。奥さんの病気回復を祈願してお遍路旅を続けているのだろうか。
このお寺の本尊は行基が刻んだ十一面千手観世音菩薩とのことだ。一木造りで高さ5.2mの立像だという。国宝に指定され、本堂に安置されているというが、中は暗くて見ることができなかった。納経所で毎回そのお寺の本尊を印刷した御影札を渡されているが、このお寺のお札には、十一面千手観世音菩薩が印刷されていた。時刻は午後4時。次のお寺で今日は終了になりそうだ。空が暗くなって来た。また雨が降り出しそうだ。

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