
F4サイズ 235×332mm
板倉と棚田がある種蔵集落を散策した。稲の刈取りが終わった田んぼには架稲が立てられ、稲藁が干してある。向こうの田んぼにも架稲が見える。今時には珍しい風景である。
小道を歩いて行くと、稲刈り真っ最中の風景に出会った。小さな稲刈り機を動かしているのは、おばさんだ。「ご苦労さん」と声を掛けると「写真を撮りに来たのかい」と返事が返ってきた。「スケッチしに来たのです。ここは、架稲があって、いい風景がありますね」と言うと、「田んぼが小さいから、農協へ供出するほど米が取れんのや。どの家も自分とこだけで食べる分しか取れないから、こうして架稲を立てて干せば用が足りるのさ。」と答えが返ってきた。「先日、写真を撮る人が、『稲藁の上に掛けてあるビニールシートがないと、もっといい写真が撮れるのに』と嘆いとったけど、あんたは、絵だから大丈夫だね。」と、そのおばさんは大声で笑った。
棚田と板倉が残る種蔵集落には、稲藁を干す架稲もずらりと並んでいる。この風景は、これからもずっと守っていって欲しいものだと思った。稲藁を覆うビニールシートがないともっといいのだが・・・・。