
F4サイズ
以前から描きたいと思っていた風景がある。国道41号線庵谷橋から覗いた寺津の風景である。車を止めるスペースがなく、いつも通り過ぎてしまうのだが、今日は思い切って国道の脇に車を止めた。このところの暖かさで雪はすっかり解け、春を感じさせる風景が眼下に広がっていた。
神通川第一発電所の建物の向こうに赤い寺津橋が見える。その橋の下にある淵が、河童伝説が残る「寺津の淵」である。この寺津の淵は、江戸・明治時代には、飛騨から流された飛州木材を、藤蔓で作った太い綱で止め、その数を数えて、帳付けする所だった。ここで筏に汲んで、さらに下流まで流す木流し職人が活躍した所だ。轟々と渦巻いて流れる神通川を、筏が下って行った風景はさぞかし勇壮だったことだろう。
橋を渡って、その先に見えるのが寺津集落だ。ここからは谷の底にある集落に見える。その手前にある右手へ続く道が、景勝「片路峡」を通る旧飛騨街道だ。本格的な春になったらまた歩きに行こう。