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昨日降った雪は、昨日の内にほとんど解けてしまったが、昨夜また雪が降った。10センチほどの降り積もり、今日も美しい雪景色が見られそうだ。
時刻は午前8時20分。特急ひだ号の発車時刻に間に合いそうだ。国道の凍結もなく、10分ほどで猪谷駅に到着した。待合室を覗くと、5人ほどの人が列車を待っていた。服装から見ると、特急ひだ号に乗車する人のようだ。
外へ出ると、ホームに制服姿の人影が見えた。手には四角いカバンを提げている。この駅から乗車する特急ひだ号の運転士のようだ。車掌は、富山駅から乗車するそうだ。
さっき待合室で見た人たちもホームへ移動した。そして警報機が鳴り出し、遮断機が下りた。神岡鉄道が廃止される頃に、線路に入って写真を撮る人がやたら多くなり、それでここに遮断機が設置されたと記憶している。今はその賑わいはないが、安全のために遮断機が降りるのだろう。
特急ひだ号が姿を現し、ホームに停車した。そして、運転士の交代があり、列車は発車した。雪煙を巻き上げながら、特急ひだ号はトンネルの中に消えて行った。「ああ、旅に行きたい」と思う旅人だった。