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笠寺観音に鐘楼がある。江戸時代の建物で、尾張名所図会にも、この鐘楼の絵が載っている。この鐘楼に吊り下げられている梵鐘は、鎌倉時代に作られたもので、野間大坊、甚目寺の梵鐘とともに、尾張三大古鐘といわれているそうだ。
この鐘楼の周りで、かくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたりした思い出があるが、大晦日の出来事は忘れられない。
今から20年ほど前のことだ。旅人の子どもたちが成長し、大晦日も夜中まで起きていることができるようになった頃だった。初詣に出掛けることにした。この辺りでは、熱田神宮へお参りに行くのが普通なのだが、夜中であるし、大変遠いので、近くの笠寺観音へ出掛けることにした。
暗い夜道を歩いて行くと、遠くから鐘の音が聞こえて来た。これから向かう笠寺観音の方から聞こえて来るようだ。笠寺観音で除夜の鐘を突いているのをその時初めて知った。不思議なことは、鐘の音の間隔が決まっていないことだった。長い時もあれば短い時もあるのだ。不思議な除夜の鐘だった。
笠寺観音に着いて、その理由が分かった。何と、除夜の鐘は、お参りに来た人たちが突いていたのだ。だから、不定期だったのだ。もちろんその後、旅人の家族が除夜の鐘を突いたことは言うまでもない。
笠寺観音の除夜の鐘は、108をはるかに超え、列に並んだ人が途切れるまで鳴り響いている。その当時、一突き100円だったように記憶しているが、現在は、200円になっているという話だった。大晦日には、笠寺観音の梵鐘を突きに出掛けてみてはどうですか・・・。