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首なし地蔵さんのスケッチに小糸へ出掛けた。実のところ、野菊の会の村田さんから、「首なし地蔵さんは、尾萩野の地蔵さんがたくさん並んでいる中にあるから、見てきたら」と去年の春に言われていたのだが、ずっとそのままになっていたのだ。ようやく約束が果たせそうである。
尾萩野のひろい田んぼは、すっかり稲刈りが終わり、茶色の地肌が一面に広がっている。この高台に、お地蔵さんがずらりと並ぶ所がある。集落のお墓も併設しているから、迷いそうである。「一箇所は、墓仏が並んでいるよ。旧街道の野仏は、高台の方だから間違えないようにね」と知人から言われたことを思い出した。
高台の社には、七つの野仏たちが並んでいた。そして、首を修復したお地蔵さんはすぐに見つかった。赤い前掛けを着けていたが、確かに首を修復した跡があった。物語にあるように、優しい眼をしたお地蔵さんだった。
今も、お地蔵さんを、小糸集落の人たちは、お守りしているのだろう。小さな花瓶に秋の花が飾られていた。