もうすぐ三月だというのに、毎日のように雪が降り続いている。しかし、ベタ雪で、日が差せばあっという間に解けてしまうから、ありがたい。春は確実に近づいて来ているようだ。
神岡町の旧神岡鉄道奥飛騨温泉口駅前に「茶樹」という名前の喫茶店がある。四年ほど前から懇意にしている喫茶店で、今は、旅人の水彩画を常設で展示してもらっている。去年、旅人の手作りカレンダーを十部ほど置いてもらったのだが、完売したという知らせが入り、集金がてら、気分転換に神岡の町までドライブすることにした。
国道四十一号線を走るのは、苦手だ。何せ、猛スピードで走る車に追い立てられるからだ。特に平日だと、その車がダンプやトレーラということになる。幸い今日は土曜日である。大型車は少なそうだ。「車にはくれぐれも気をつけてね」という上さんの言葉に送られて出発した。
予想通り、大型車の姿はなく、日頃、道路工事が行われている所も、解除マークがついていて、快調に走って行ける。途中、松本ナンバーのワゴン車に抜かされたくらいで、神岡の町に到着した。
喫茶店「茶樹」は昼時を迎え、女将さんが忙しそうにランチを作っていた。カレンダーの代金を受け取り、コーヒーを注文した。「今年の冬は、雪が多いですね」と声を掛けると、「神岡も何年振りかの大雪です。毎日、除雪がたいへんです」と、返事が返ってきた。神岡は、細入より寒いから、凍てついた雪の除雪は大変だろうなあと思った。喫茶店のテレビからは、冬季オリンピックのスキー競技が流れていて、お客さんたちが食い入るように画面を見つめていた。日本はまだ金メダルを獲得していない。浅田真央は金メダルを取れるのだろうか…。

旧神岡鉄道「奥飛騨温泉口駅」
帰りに、奥飛騨温泉口駅に寄った。神岡鉄道が廃線になった後も、この建物は、以前のまま残されている。主にバス停として利用されているが、春、夏、秋の行楽時期には、旧神岡鉄道の廃線になった線路を自転車で走る「レールマウンテンバイク」の取組みが行われている。この駅舎はその出発駅になっている。入口には、「レールマウンテンバイク」の垂れ幕が掛かっていた。今年は、もう少し路線を長くしようと、飛騨市に申請しているそうだ。実現すれば、話題を呼びそうだ。

釣瓶橋からの高原川の風景
駅前のすぐ近くにある釣瓶橋まで歩いた。橋の上から下を覗くと、雪が積もった渓谷をコバルトブルーに染まった水が流れていた。岩肌や木々の色がくすんでいたので、川の色がいっそう美しく見えた。
帰りの国道は、飛騨ナンバーの車にトンネルの中でパッシングライトを点滅され、ひやひやどきどきの運転になったが、無事家路についた。ああ、疲れた…。