猪谷駅舎の中にある棚に置いてあるパンフの在庫状況を見に出掛けた。旅する人に猪谷周辺を紹介しようと思い立ち、ここに置き始めてかれこれ二年になる。二週間に一度くらいは見るように務めているが、このところ忙しくてなかなか出掛けられなかった。予想通りパンフは一部も残っていなかった。冬になり、めっきり旅行客は減ったが、乗り換え時間に旅人のパンフを持っていくお客さんが結構いるようだ。ありがたい話だ。

ラッセル車
補充のパンフを置き、外へ出た。時刻は、午前八時半。特急ひだ号がやって来るころだ。ひだ号の姿が見たくて、駅の外れまで歩いて行くと、格納庫の前に、ラッセル車がとまっているのを見つけた。こんな近くでラッセル車を見るのは初めてだ。オレンジ色の車体が白い雪に映えていた。
車体をよくよく見て、驚いた。前部は、雪を掻き分けて進む羽が付いているが、後部には、ロータリー車の羽が付いていた。以前は、ラッセル車とロータリー車は別々だったが、この列車は両方が合体している。最新式のラッセル車は、皆こんな形になったのだろうか。素晴らしいアイデアだと感心した。実際に走っている所を見たいと前々から思ってはいるが、春は近い。そのチャンスはなさそうだ。

特急ひだ号
特急ひだ号がやって来た。シルバー色の車体が光を浴びて、光っている。三両編成の真中の車両に人影が見える。ここが自由席なのだろう。列車は、スピードを落とし、ホームに停車した。何人かが乗車したようだ。三月半ばには青春18切符が始まる。猪谷駅が見たくて、はるばるやって来る旅人の顔がもうすぐ見られそうである。