「美濃太田行」普通列車が止まっている隣のホームに、「特急ひだ号」が停車した。やがて、最後部のドアが開き、車掌さんが降りて来た。降りて来たのは、JR西日本の車掌さんだ。そして、ホームで待っていたJR東海の車掌さんが乗車した。猪谷駅は、JR西日本とJR東海の境界の駅である。
十年ほど前には、この駅で運転士や車掌が交代する風景は見られなかった。JR東海の普通列車も富山まで運転されていた。最近になって、経営の境界が、かなりはっきりしてきたように思う。今年の大雪の日にも、JR西日本は、富山県内の全線で運転を休止したが、JR東海は、高山本線を休止せず、列車は猪谷まで来ていた。猪谷駅で途方に暮れたお客さんがたくさんいたという話だ。JR西日本とJR東海の経営スタイルには違いがあるようだ。
発車ベルが鳴り、「特急ひだ号」が動き出した。ホームで車掌さんが見送っている。「特急ひだ号」は、二つの会社で運転されているが、もっとたくさんの会社で運転されている寝台列車もある。境界の駅では、どんな交代の風景が見られるのだろうか?