水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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ふらりきままに しまなみ海道を歩く3

3 向島の宿

 時刻は午後5時を過ぎました。そろそろ今晩の宿を見つけなくてはいけません。いつものように駅前のホテルに宿泊する方法は簡単でしたが、今日は渡船で対岸の向島に渡り、島の民宿で宿泊すれば、美味しい料理が食べられるのではないかと旅人は考えたのです。
渡船が発着する渡し場に行きました。渡船は可愛いい小型のフェリーで、ひっきりなしに発着を繰り返しています。「料金はどうすればいいのかな」と思って躊躇していた旅人は「降りる時に100円払ってもらえばいいから、早く乗ってください」と、乗り場で案内をする女性にせかされました。あわてて乗船した船内は、勤めから帰る人や高校生で満員でした。
 船は5分ほどで対岸の向島に着きました。小さな渡船からは、車やバイク、自転車などが続々と下りて行きます。新尾道大橋という立派な橋ができたのに、人々はこの渡船を、今も足として使っていることに、不思議な光景を見ているようでした。今回の旅の中で、その理由をぜひ知りたいと思う旅人でした。
 「どこかに民宿はありませんか」港で仕事をしているおじさんに声を掛けました。「民宿なら1つ先の港に固まっているよ。そこの道を左にずっと歩いて行けばありますよ」と、おじさんは親切に教えてくれました。教えられた道を10分ほど歩いた所に、民宿大元荘という看板の出ている建物を見つけました。「灯りが消えている。やっているのだろうか」旅人に不安な気持ちが過ぎりましたが、思いきって声を掛けてみることしました。
 「ごめんください」しばらくして、灯りが点き、女将さんが奥の部屋から出てきました。「今晩泊まれるでしょうか。1人なのですが」「今からだといい料理はできませんが、泊まれます。どうぞ、2階へ上がってください」女将さんは2階の海がよく見える部屋へ旅人を案内しました。「食事は7時から1階の食堂に準備させてもらいますから、よろしいでしょうか。風呂は1階にあります。今からどうぞ」女将さんは丁寧に説明をしてから下がって行きました。 

img198.jpg

 2階の部屋から海を見ると、尾道水道と呼ばれる海は、まるで川が流れているように見えました。汐の満ち引きがそうさせているようです。対岸にある尾道の町の明かりも色づいて見え始めていました。
風呂で汗を流した旅人は、浴衣に着替えて食堂へ下りて行きました。食事がテーブルに並んでいます。2人分の食事が並んでいました。「大した料理はできません」と女将さんが言っていたのとは大違いで、美味しそうな刺身や魚の煮付けが並んでいます。


 「ビールはそこの自動販売機で買ってください」女将さんが教えてくれた場所には、自動販売機が設置されていました。ビールや酒はセルフサービスになっているようです。きっと忙しい時期には、この食堂はごった返していて酒のサービスができないのだろうと思いました。
 食事を始めて、しばらくして、年配の男性が入って来ました。顔なじみの客のようで女将さんと親しそうに話しています。「今晩は」旅人は男性に声を掛けました。旅先で出会った人に話を聞くことはとても楽しいものです。「この人は、渡船の船長さんなのですよ」と、女将さんが男性を紹介してくれました。
 「新しい橋ができたというのに、島の人は、今でも渡船を利用しているのですね。今日渡船に乗ってみて、よく分かりました」旅人は、不思議に思っていたことを船長に話しました。「この辺りは、昔から渡船を使っていたから、すぐには止められんし、渡船は便利だよ。新しい橋はぐるっと回らにゃいかんし、とにかく渡るのには、お金が高い」船長は怒っていました。「これからも、渡船はなくならずに残ると思うし、残さにゃいかんと思っています」船長は力を込めて話しました。自分の仕事を誇らしげに語る船長の顔を、旅人は感激しながら見つめていました。
 民宿の玄関に車が止まり、新しい客がやって来たようです。「2階の奥の部屋へどうぞ」女将さんが客を案内して行きました。美味しい肴とビールを飲みながら、旅人は船長と旅の話を続けていました。
やがて、新しい客が食堂に現れました。髭を生やした青年でした。「すぐ料理を持って来ますから」女将さんは調理場へ入って行きました。青年は、この民宿へは何回かやって来ているようでした。勝手知ったる様子で、コップを戸棚から取り出し、ビールを飲み始めました。
「話が盛り上がっていますね」青年が話し掛けてきました。「この人、明日、しまなみ海道を歩くと云うのですよ」船長が旅人を紹介しています。「それは凄いですね」青年は感心しています。「ぼくの仕事も旅ばかりしているのです。今までにいろんな所へ行きました。今日も、四国の山の中でビデオカメラを構えて撮影していたのです」青年は、自分のことを話し始めました。青年は、NHKエンタープライズのカメラマンでした。話は、どんどん盛り上がって行きました。
 「NHKのテレビで四国八十八ヶ所巡りの番組がありますね。高い所からお寺に迫る場面があるのですが、どのようにして撮影しているのですか」旅人は、日頃から疑問に思っていたことを質問しました。「あれは、なかなかいい場面構成ができていると思います。高い所からお寺の屋根や境内が一望できるできるように撮影しています。大きなクレーン車にカメラを積みこんで撮影しているのです」「クレーン車で撮影していたのですか」青年の説明を聞いて納得した旅人でした。
旅人は質問を続けました。「ハイビジョンという言葉は、NHKの特許の言葉です。だから、民法放送はハイビジョンという言葉を使えないのです。同じようなデジタル撮影も、クリアービジョンとか別の言葉を使っているのです」旅人の質問に丁寧に答えてくれた立派な青年でした。瀬戸内の夜は更けて行きました。
[ 2012/04/03 06:40 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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