6 甲府市から大和村へ その1 午前6時起床。荷物を整理した。昨夜洗濯した下着も乾いている。旅行中は宿に着くと洗濯をするようにしている。ホテルにはエアコンが入っているので、朝にはほとんど乾いている。着替えを2日分用意して来たが、十分それで足りるようだ。コンビニのおにぎりで朝食を済ませる。
午前7時ホテルを出発した。空は曇っているが、雨は大丈夫のようだ。旧甲州街道になる国道411号線を石和市へ向って歩いて行く。側溝の上に蓋が被せてあり、それが歩道となっている。所々に側溝の蓋が開けられるようになっている。雪を捨てる時に使うのだろうか。
午前7時半を過ぎ、自転車に乗った登校を急ぐ高校生や中学生が多くなってきた。路側帯を猛スピードで走って行く。車が来ても平然としている。怖さを知らない若者だからできるのだと思った。「山梨県はバスの本数が少ないから、みんな車に乗っているよ」と、昨日タクシーの運転手が話していたが、高校生や中学生は自転車をしっかり活用しているようだ。
午前8時間半、石和町に入る。遠くに高いビルが見えて来た。石和町は温泉の町。25年ほど前に職員旅行で1泊したことがあった。当時、石和温泉郷が田んぼの中に突然出現し、話題を呼んでいた。もの珍しさもあって職員旅行の目的地になったのだ。今では100件近い旅館やホテルが建ち、年間140万人もの人がこの温泉郷を訪れているという。高いビルもホテルか旅館なのだろう。

大きな交差点の所をそのまま真直ぐ進む。後で分かるのだが,旧道はここを右に曲がるのだそうだ。やはり高いビルは旅館だった。客室が何百もありそうだ。この不況で経営は火の車なのだろう。その旅館の大きな駐車場は、雑草が生えて荒れ果てていた。旅館やホテルが並ぶ道をしばらく行くと、左手に石和駅が見えて来た。時刻はちょうど9時。駅で休憩することにした。
客待ちをしているタクシーの運転手に、旧甲州街道について尋ねた。「バス通りが旧甲州街道だよ。本陣跡も残っているから見て行くといい」と教えてくれた。
バス通りに向かって歩き出した。大きな旅館がある。お客さんがたくさん玄関から出て来て、バスに乗り込む所だった。着物を来た10人ほどの仲居さんも出て来た。仲居さんは、バスが見えなくなるまで手を振っていた。温泉街の風景だった。