水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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ふらりきままに 甲州街道を歩いて下諏訪から新宿へ 6-5


6 甲府市から大和村へ その5

 大月駅に到着した。JRだけでなく富士急行も乗り入れていた。駅前にビジネスホテルある。ホテルの玄関へ行くと、ガラス戸に「今日は満室です」と張り紙がしてあった。「また宿を見つけるために苦労しそうだな」と思った。駅前の通りに古ぼけた旅館を見つけた。入口から2階へ上がって行った。「ごめんください」と声を掛けると、奥からおじいさんが出て来た。「今日泊れますか」と聞いた。「ワシではよく分からんから、ちょっと待ってくれ」とおじいさんは言って、電話をした。しばらくして、奥の部屋から、おばあさんが出て来て、「はい、泊れますよ。1泊5000円です」と言った。「すぐ、現金でお願いします」と言われた。5000円を受取ったおばあさんは私を部屋へ案内した。
 
 酷い部屋だった。四畳半の部屋で、しかも、隣にも部屋があり、襖1枚で仕切られているだけだった。襖を開けて一つの部屋として使うのが普通なのに、それを二つに仕切って使わせるという信じられない話だった。「きっと今日は、隣りは客がないのだろう」その時はそう思っていた。
 
テ レビを付けて相撲を見ていたら、「風呂が涌きましたから、入ってください」とおじいさんに呼ばれた。手ぬぐいを持って風呂場へ行った。普通の家庭にある小さな風呂だった。しかも、洗い場が壊れかけていた。とんでもない旅館に泊ってしまったようだ。
 
 夕食を食べに出掛けた。細い路地に飲食店が何軒か並んでいた。「焼き鳥」という看板のある飲み屋に入った。エプロン姿のお上さんが料理をしていた。焼き鳥とビールを注文した。「大月はどんな町です」と私は聞いた。「大月は、狭い谷間に家がごちゃごちゃ建っていて、それも小さな家ばかりでウナギの寝床のような所ですよ」とお上さんは言った。

 平日なのに駅前のビジネスホテルが満室だった話をしたら「あそこは、いつも満室という張り紙があるよ。聞いてみたら空いていたかもしれないね」とお上さんは言った。今日泊った旅館の話をしたら、「やっぱりねえ。おじいさんとおばあさんになってしまって、サービスが行き届かなくなってしまったんだよ」とお上さんは、残念そうな顔をした。「それにしても5000円は高いねえ。もっと安くしろと言わなかったのかい。あんたも人がいいねえ」と叱られてしまった。
 
 そこへ、作業着姿の若者が入って来た。手に冷凍イカのパックを持っている。「お上さんこのイカを買ってくれないですか」と若者は言った。「そうねえ。少し待って」とお上さんは店の冷蔵庫を開けて中を調べていた。「まだあるみたい。今日はいいわ」とお上さんは言った。「そういうこと言わないで、ちょっと見てほしいよ。味は保証するから。安くしておくから買ってくれない」一生懸命冷凍イカを勧める若者にお上さんは負けたようで、その冷凍イカを購入した。大月ではこういう品物しか手に入らないのだろうか。産地から遠く離れた山の町では仕方のない話なのかも知れない。帰りにラーメンを食べて、宿へ戻った。
 
 明日のことについて考えた。笹子峠を歩くことは、今回は止めることにした。「笹子峠はクマの出ないもっといい季節に歩きに来よう」と思った。「どんな形であれ,峠を越えればいい」と考えたら、気持ちが楽になった。車で笹子トンネルを抜ける方法もあるが、列車でトンネルを抜けるのも同じだ。笹子トンネルは今日すでに列車で通っていたので、明日は、トンネル出口の笹子駅から歩き始めることにした。「甲斐大和と笹子の間は列車に乗って通過した」と旅日記に記録した。
 
 電気を消して床に着いた。しばらくして目が覚めた。隣の部屋の、テレビの音がうるさいのだ。隣の部屋に客が入ったのだった。時計を見ると午後11時過ぎだった。欄間から灯りが漏れて、私の部屋まで明るくなっていた。本当に酷い旅館に泊まってしまったものだ。その夜は、落ち着かなくて、ぐっすり眠ることができなかった。宿を見つけるのは本当に難しいことだと思った。

[ 2012/04/27 06:23 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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