水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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奈良「山辺の道」を歩く その1

名古屋~大和朝倉~大神神社

 私は久しぶりの休暇を取り、街道歩きに出かけた。今日の目的地は奈良「山辺の道」。服装はいつもの履き古したスニーカーにジャンパー姿である。リュックを背負い、野暮ったい格好で高蔵寺から快速列車に乗車した。いつもだったらこの列車に通勤客として乗るのだが、今日は旅行客として乗っていることに、気分は少しウキウキしている。列車の中に、いつものくたびれた背広姿のサラリーマンに混じって、真新しい背広やスーツに着飾った若者たちの姿がある。四月一日は、各企業で入社式が行われる日でもある。社会人としてスタートするその若者たちの顔は、きりりと引き締まっていた。

 七時二十分に列車は名古屋駅に到着。名古屋駅で近鉄に乗り換える。近鉄特急難波行きの発車は七時三十分。僅か十分間しかない。近鉄の改札口へ急ぐ。「八木まで」と駅員に告げると「近鉄特急は全車指定席になっています。喫煙しますか」と尋ねられた。「禁煙席を」と答えると、平日なので座席に余裕があるのか、切符が機械から出てきた。

 車内はほぼ満席である。この列車でもスーツ姿に少し大きめのカバンを持った若者の姿が目につく。この若者たちも今日、社会人としてスタートするようだ。列車は定刻通り発車。通勤列車として利用されているようで、四日市、津では乗客の乗り降りが激しい。しかし、常に車内は満席状態である。十時二十分、近鉄八木駅に到着。昼食のおにぎりを駅の売店で購入する。十時四十分、名張行きの普通電車に乗り換え、大和朝倉に到着した。

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 朝倉駅から北に向かって歩き始める。目的の山辺の道は朝倉駅のすぐ近くを通り、天理市まで東海自然歩道として整備されている。道標が所々に立っているので、それに従って歩いて行けばよい。自然歩道をしばらく歩くと交通量の多い一般道路と重なってしまい、少し危険を感じながらの道歩きになった。左手に大きな川が迫ってきた。初瀬川で、堤には「遠い昔、難波津から大和川を経てきた舟運の終着地しての港がここにあった」との説明があり、記念碑も立てられていた。また、「奈良時代に百済から仏教を伝来する使者が降り立った地である」との説明もある。現在、川原を大きな公園にする計画があるようで、工事中であった。

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 ここから東海自然歩道は、一般道と分かれ、細い旧道になった。道は緩くカーブし古い町並みが続く。海拓榴市の案内板が立っている。「このあたりは古代、東西南北の陸路や難波への水路が集まる場所で、市があり、大いに賑わった」と説明がある。この道標のすぐ近くに海拓榴市観音が奉られていて、この日も五、六人がお参りに訪れていた。

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 次の目的地は、ここから、五百メートルほど行った所にある金屋の石仏である。パンフレットには、「コンクリート製の御堂の中に、二体の石仏が納められている。高さ二メートル余りの岩に掘り込まれた石仏で、右が釈迦如来、左が弥勒如来で、日本でも指折りの石仏である。」と書いてある。ところが、この日、私は石仏への道標を見落として、そのまま旧道を進み、三輪駅のすぐ近くまで行って、道を間違えたことにやっと気づくという失敗をした。山辺の道を人に聞いてやっと道に戻ることはできたのだが、すでに金屋の石仏前は通り過ぎていた。ここから引き返そうかとも考えたが、今日歩く距離を考えると、石仏を見る時間は取れそうにもないので、見ることは諦めることにした。今度来た時にはぜひ見なくてはと思った。

 平等寺というお寺の前に着く。たくさんの人がお参りに来ている。平日にもかかわらず、二十人近い参拝者がいるのには少し驚いたが、「きっとこのお寺はこの地域では有名なのだろう」と私はその程度に思っていた。そこから、細い道を歩き出すと、やたら人が多くなってきた。地図で見ると、次の目的地は大神神社(三輪明神)である。

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 細い道は、だんだん進むのが難しくなってきた。そのくらいたくさんの人が歩いているのである。今日は何か催しでもあるのだろうかと不思議に思いながら大神神社の境内に到着した。そこで見た光景は本当に度肝が抜けそうで、今でもあの時の驚きを忘れることができない。参道は何千という人でびっしり埋まっていて、私のいる境内に向かって歩いているのだ。初詣の風景そのものがそこにあった。「一体ここは何なのだ!この人たちは何のためにここへやって来ているのか!」予期せぬ出来事で、暫らくは呆然としてしまったが、おそるおそる参拝者に尋ねて見ると、「今日は春の大神祭の日で、参拝に来ました。」と教えてくれた。

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 参道を少し下ると左手に用水があり、たくさんの人がその中を覗き込んでいる。中には手を合わせて拝んでいる人もいる。「巳さんが目を覚ませはった。あそこやで」とおばあさんが叫んでいる。石垣の間に蛇がいる。用水に賽銭を投げ入れている人もいる。今の世の中に、こんなに信仰のあつい神社がこの奈良の山辺の道にあることに、この土地の歴史の古さを感じさせられた。大神大社について、パンフレットで調べると「大和の一の宮で、背後にある三輪山を御神体とする式内社で、日本で最も古い神社の一つといわれている。境内の大きな杉の木には『巳さん』と呼ばれる神の使いの蛇が棲むといわれ、お供えの御神酒と卵が途切れることがないという。ここはまた酒の神としても有名で全国の酒造業者の信仰を集めていて、造り酒屋の軒先にゆれる杉玉はこの神社で授けられているものである。」と説明されていた。人々の流れは、この神社のすぐ隣にある狭井神社の辺りでやっと途切れるようになった。とにかく思いがけない出来事に暫らくは興奮を押さえることができないでいた。
[ 2012/05/18 07:00 ] ふらり きままに | TB(1) | CM(1)
私も山辺の道へ
数年前、2~3年続けて友人の車で、山辺の道の出発点へ行きそこから歩いたことを思い出しました。
[ 2012/05/18 11:28 ] [ 編集 ]
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名古屋~大和朝倉~大神神社 私は久しぶりの休暇を取り、街道歩きに出かけた。今日の目的地は奈良「山辺の道」。服装はいつもの履き古したスニーカーにジャンパー姿である。リュックを背負い、野暮ったい格好で高蔵寺から快速列車に乗車した。いつもだったらこの列車に通...
[2012/05/19 15:36] まとめwoネタ速neo
プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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