第4日目(5月19日) 登別~苫小牧 寒い一夜が明けました。まだ小雨が降り続き、牧場の中にある鉄塔の上部は低い雲に覆われていました。
お湯を沸かし、カップラーメンで朝食を済ませ、親父さんに挨拶をして出発することにしました。
「熱いコーヒーはどうですか」とライダーハウスの奥さんから声を掛けられました。美味しいコーヒーでした。そこで、親父さんや奥さんからライダーハウス開業に至る話を聞きました。「町での商売に疲れ、知り合いからこの牧場を紹介してもらい、素人農業を始めたばかりですよ」と親父さんが話してくれました。私の話を聞いているようでした。
親父さんに「地獄谷やクッタラ湖は見学するといいよ」と勧められ、出掛けることにしました。
地獄谷は登別温泉街のすぐ近くにありました。褐色や黄色の地肌が広がり、所々から蒸気が噴出しています。「地獄とはこういう所です」と言われれば、「そうみたいだね」と納得できる風景でした。その奥にある、「大湯沼」にも行きました。ここは、登別温泉の源泉が湧き出している所です。表面温度40~50℃、底部は130℃という熱湯の沼があります。沼の表面から水蒸気が噴出し、迫力がありました。スケッチに挑戦しましたが、雰囲気が伝わるスケッチにはなりませんでした。

駐車場へ戻る途中で自然歩道を歩きました。ススタケを見つけ、少し藪の中へ入ってみました。親指ほどの太さの竹の子が辺り一面に顔を出していました。欲につられて、つい竹の子に手を出し、50本ほど収穫してしまいました。ここは国立公園になっているのかも・・・?少し反省しながら、歩道を歩いて行くと、ひょっこりキタキツネが顔を出しました。北海道には豊な自然が一杯残っていることを知りました。自然を大切に!
「苫小牧に素敵なキャンプ場がありますよ。オートキャンプもできるのではないかな」とライダーハウスの親父さんが言っていました。今晩はそこで宿泊することにしました。
苫小牧駅前でタクシー運転手にキャンプ場の場所を教えてもらいました。「アルテン」とう錦大沼公園の中にあるキャンプ場で、温泉施設、乗馬、カヌー、マウンテンバイク、パークゴルフなどがあり、スケールの大きさはさすが北海道でした。
小雨が降り続き、オートキャンプ場ではとても宿泊できる状態ではありません。少し贅沢でしたが、バンガローを借りることにしました。萌えるような新緑の中にバンガローはありました。7~8人ほどが宿泊できる広さがあり、丸太作りのベッドが4つもありました。
子どもが小さかった頃に、よくキャンプに連れて行きました。その時の思い出がよみがえってきました。ここも夏休みになれば、子どもたちの歓声がこだましているのでしょう。今日は月曜日、しかも季節はまだ春ということもあり、広いキャンプ場に宿泊しているのは私1人でした。

併設されている温泉に入った後、近くのスーパーで夕食の食材を買い込み、薄暗くなった林の中で調理をしました。ビールと焼肉というキャンプ場お決まりのメニューにしました。旅に出てからというもの、不思議な夕食が続いています。食事の後は、雨の音を聞きながら、スケッチブックを開いてカラマツ林を描きました。色は明日付けることにして、午後8時消灯にしました。暖房が入ったバンガローの夜はさすがに快適でした。北海道の夜はまだ暖房が離せないようです。