水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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春の小豆島を歩くふしぎな旅 1-1

第1日 姫路~小豆島安田 その1

 まだ朝早い姫路の町を市バスは走って行く。行く先は姫路港。これから私は、フェリーに乗って小豆島へ出掛けるところである。

 学生たちの春休みが始まり、「青春十八きっぷ」が使える季節になった。「今回は小豆島を歩いてみよう」と思い立ち、雪がまだ残る富山県細入村の自宅を出発したのは昨日である。普通列車を乗り継ぎ、昨夜遅く姫路に到着し、駅前のホテルに泊り、今朝ホテルを出発したのだ。

 今日は月曜日。市内は会社に出掛ける人たちで混雑し始めていた。このバスの車内にも眠そうな顔をした男たちが何人も乗っている。港で仕事をしている人たちのようだ。そんな中に1人、薄汚れた服を着て、大きなリュックを背負った私に、乗客たちは全く関心を示していないようだ。これが都会なのだろう。

 8時少し前、バスは港に到着した。小豆島行フェリーの出航時刻を調べに行く。福田港行は9時45分である。2時間近くある。それまで姫路港でスケッチをしながら過ごすことにした。今回の旅行には、一つ目標がある。旅をしながらスケッチを描くことだ。今までは写真でその地域の美しい景色を切り撮ってきたが、今回はその景色をスケッチに残すのだ。そのために重い絵の具もリュックに入れてきた。今までとは違った、新しい旅になりそうだ。売店でおにぎりとお茶を買い、眺めのいいフェリー埠頭の桟橋へ移動した。
 
 誰もいない桟橋で朝ご飯を食べていると、そこへバイクに乗った親父さんがやって来た。肩から大きなクーラーボックスを下げ、手には釣り竿を持っている。今からここで釣りを始めるのだろうか。
「何を釣るのですか」
「黒鯛かセイゴを狙っているのだけど、釣れるかな」親父さんはニコニコしながら答えてくれた。
「ここにいて邪魔なら引っ越しますが」と私が言うと、「いや、構いませんよ」と親父さんは、つり竿の準備を始めた。
親父さんの仕掛けは、大きな錘の上に釣針がついた不思議な構造をしていた。準備を終えた親父さんは、つり竿を力一杯振って遠くへ錘を投げ入れた。
 「餌を付けずに釣るんですか」不思議に思って尋ねると、「これは引っ掛けと云ってね、海の中を泳いでいる魚をただ引っ掛けるという単純な釣りさ。広い海の中から砂粒を拾うようなものさ」と笑いながら教えてくれた。おもしろい釣りがあるものだ。錘を遠くへ投げ入れ、リールを巻いて引き寄せ、再び錘を投げ入れるという単純な動作の繰り返しである。確かにこの釣りは、大海から砂粒を拾うようなものだと納得した。こんな物で本当に魚が釣れるのだろうか。

 親父さんの釣りを眺めながら食事を終え、私はスケッチを始めた。桟橋の横を小さな艀が走って行く。沖に停泊している船から荷物を積み下ろすのだろう。港にある工場の煙突からは白い煙が上っていた。艀を描こうとしているのだが、動いている物をスケッチするのは難しい。

 その時、親父さんのつり竿が大きくしなった。何か魚が掛かったようだ。リールを巻き取ると大きな魚が上がって来た。何と黒鯛だった。
 「いやー凄いですね」駆け寄った私に、「ああ、目を引っ掛けてしまった。かわいそうな釣り方をしてしまった」と親父さんから思い掛けない優しい言葉が返って来た。引っ掛けるという残酷な釣り方にも引っ掛けてはならない場所があるようだ。黒鯛はぴちぴち跳ねていた。親父さんは大きな網を取り出し、その中に魚を入れて海の中に吊るした。目を引っ掛けて釣ったことがよほど後味が悪かったのか、「かわいそうなことをした」と、親父さんは何度も繰り返していた。それからしばらくして、今度は、セイゴが釣れた。尾ひれが引っ掛かっていた。この辺りは魚が濃いのだろうか、それとも親父さんの腕がいいのだろうか。

syodo1.jpg

 のんびりと釣りを見ながらスケッチをして時間を過ごし、フェリーの出航時刻が近づいたので、リュックを担いで乗り場へ移動した。まだ、福田港行は入航していなかった。切符売り場で乗船券を購入した。運賃は1320円だった。

 出航10分前になってフェリーが到着した。おりいぶ丸と船体に名前がある。桟橋を通って乗船した。大きなフェリーで客室はゆったりしている。しばらくすると船内は混んできた。団体客が何組か乗船したようだ。





 
[ 2012/06/05 00:09 ] ふらり きままに | TB(1) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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