水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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春の小豆島を歩く ふしぎな旅 1-3

 
第1日 姫路~小豆島安田 その3  

「アイスクリームをください」と一人のおばさんに声を掛けた。
「どこから来たのかね」とそのおばさんが言うので、「小豆島を歩こうと思い、富山からやって来ました。今日は福田から歩いて来ました。安田まで行きます」と答えた。
「富山って、金沢の富山かね」と言われてしまった。富山県がどこにあるのかこのおばさんはよく分からないらしい。富山県は全国区になれていないのかもしれないと思った。

「福田から歩いて来たとは凄いね。最近は歩いている人はめったにおらんからね。」とおばさんは大きな声を出して、感心していた。「安田の町はあの丘の向こうだから1時間もあれば着くよ」ともう一人のおばさんが言った。景色のいい所などもいろいろ紹介してくれた。小豆島の人はみな親切だなあと私は思った。

syodo3.jpg


 アイスクリームを食べながら外へ出ると、バス停の前のベンチで中年の女性がお茶を飲んでいた。服装から私と同じように歩いているような感じがした。
「あの山、おもしろい形をしていますね」と私はその女性に話し掛けた。
「私は、あの山の崖を登りに来ているのです。今、下りてきて、食料の買い出しにここへやって来たのです」と思い掛けない答えが女性から返って来た。 
「えっ、あの崖を登っているとは凄いですね。命がけですね。恐くないのですか」と私は驚いて聞き返した。
「相棒と登っているから恐くありませんよ」と女性は笑って答えた。
「崖の下にお堂があってそこで寝止まりしているのです。昨日、この下の浜で、相棒がモリで鯛を突いたのです。今日も魚を突いてくると言って、先程出掛けたのですよ。まさか素人に魚が突ける訳はないと思うのですが…。今から見に行こうと思っていのですが、一緒に来ますか」と誘われたので、私も付いて行くことにした。

 海岸は港になっていて、数人の漁師たちが船で仕事をしていた。港の奥の方で女性の相棒という男性がモリを持って海の中を覗きこんでいた。足元には丸い塊が一つ転がっていた。
「ほれ、ナマコをついたよ。もう一つそこにいるから、突こうとしているところだよ」と男性は自慢気に話した。
「この人、富山から歩きに来たそうですよ」と女性が男性に私のことを紹介した。
「富山は、いい所ですね。剣岳も登りに行きました」と男性は懐かしそうな顔で話した。「寝袋を持っているのだったら私たちと一緒にお堂に泊れば」と誘ってくれた。寝袋は持っていないので断わったが、本当に気さくな男性だった。男性はそれからナマコをもう一つ突き、「今晩はこれを肴にして飲まなくては」と嬉しそうに言った。
 二人が登っている拇指嶽はロッククライミングの山として有名で、ルートも幾つかあり、3時間程度で登ることができるという話だった。「明日もう1度登ってから帰ろうと思っているのです」と2人は話してくれた。別れ際に名刺をもらった。見ると「大阪府山岳連盟」と書いてあった。山が好きで好きで堪らないのだということがよく分かった。

 橘の町から国道を歩き、峠を越えて午後5時少し前に安田に着いた。今晩宿泊する「ひろきや旅館」は安田の町の入口にあった。「お遍路宿」とは聞いていたが、普通の旅館とは少し違った雰囲気のする旅館だった。
「ここで、下駄に履き替えてください。風呂は向かいの建物にあります。浴衣と丹前はここにありますから、必要なら持って行ってください」と迎えてくれたおばあさんが説明してくれた。スリッパがずらっと並び、たくさんの人が泊るようだ。

 2階の部屋へ案内された。ハンガーが8つ掛けてある。さほど広くない部屋だが、最高で8人この部屋に泊るのだろう。今日はここを1人で使う。
「夕食は6時からです。下の食堂に用意してありますから、時間になったら来てください。風呂が沸いていますからお入りください」おばあさんは、説明を終えると部屋を出て行った。

 風呂に入った後、明日の予定を立てた。「二十四の瞳」の舞台になった岬の小学校を見学した後、渡し舟で対岸に渡り、オリーブ公園を見学して再び安田に戻ってくるというコースを設定した。この旅館でもう1泊することにした。
 「食事の用意が出来ましたから、食堂へお越しください」と館内放送が入ったので、廊下を歩いて食堂へ移動した。食堂に入って驚いた。白装束に身を固めた老人が部屋一杯に座っていた。50人ほどいるのだろうか。テーブルに「新見遍照会」という名札が立っている。団体でお参りにやって来たお遍路さんたちのようだ。前の方にはお坊さんが立っている。私のテーブルは部屋の後ろの方に用意されていた。

 何かが始まりそうな雰囲気だ。
「今から般若心経を詠みます。皆さんもご唱和願います」と責任者らしい人が言った後、般若心経が唱え始められた。信心のない私も終りまで般若心経を聞いていた。遍路宿にはこういう取り組みもあるのだと、その時始めて知った。小豆島には八十八箇所巡りがあるとパンフレットに載っていたが、たくさんの人たちがお参りにやって来ているのだと知った。偶然にもこの宿に泊り、貴重な体験ができたことを嬉しく思った。

 食事を終えて部屋に戻る途中で、宿の女将さんにあった。「もう1晩泊りたいのだけどよろしいでしょうか」と申し出ると「いいですよ」と快い返事が返って来た。
「明日はどこへ行くのですか」と女将さんに尋ねられ「岬の分教場から渡し舟に乗ってオリーブ公園に行き、帰って来る予定です」と答えた。「それなら1日掛かりそうだね。時間があれば、寒霞渓谷へ行くのもいいですよ」と教えてくれた。

 部屋へ帰って、今日描いたスケッチに色を付けたが、思うように色が塗れなかった。「これから少しずつ色塗りの勉強をしていかなくては」と強く思った。向かいの部屋からお遍路さんたちの賑やかな話し声が聞こえていたが、9時には灯りも消えて静かになった。私も荷物を整理して床に着いた。


[ 2012/06/06 17:14 ] ふらり きままに | TB(1) | CM(0)
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[2012/06/09 00:34] まとめwoネタ速neo
プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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