水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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北海道最北端から歩く

第9日 遠別から羽幌

 午前五時、起床。洗面を終わり、地図で今日の目的地、初山別までの道筋を調べる。道のりは、二十四キロ、途中豊岬に大きな公園があり、そこには、宿泊施設もあるということが分かった。
 午前六時三十分、食堂へ行く。朝から、幾つも料理が並んでいる。女将さんは相変らず忙しそうに働いていた。美味しい朝食であった。
 
 午前七時、宿泊費の六千五百円を払って、出発しようとすると、女将さんが「これを、おみやげに持って行ってください」と、ホタテガイの貝柱が入った袋をくれた。女将さんの優しい心遣いに感謝し、リュックにしまった。大切な思い出が、また一つ加わった。
 遠別の町を出ると、歩道がなくなり、白い路側帯になった。かなり激しいアップダウンの道である。この道で、八月二十二日の日曜日に、トライアスロン大会が開かれるそうだ。幌延の旅館にポスターが貼ってあり、そのことを知った。トライアスロンは、水泳、自転車、マラソンの三種目をこなす、総合的なスポーツである。今、歩いている、遠別から初山別の間は、マラソンコースになっていた。この激しいアップダウンのある道を、選手たちは走って行くのだ。トライアスロンの選手は、超人でないと出来ないと思った。

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 国道は、昨日よりも車が多くなり、団子状態は、一層激しくなっていた。追い抜きをかける車も、かなり長い距離を走らないと抜けない。私は、道の右端を、対向車を真正面に見ながら歩いている。車が、猛スピードで、私の横を走り抜けて行く時には、かなり強い風圧を受けるようになった。今日は、その回数がとても多い。事故に巻き込まれないことを願いながら、歩いて行った。

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 午前十一時、豊岬に到着。今日の目的地、初山別の町までは、残り七キロである。岬センターに、寄り道して行くことにした。岬センターのある「みさき台公園」からの景色は、最高であった。丘の上に作られた展望台からは、今日歩き始めた遠別まで、ずっと見渡せた。ここには、宿泊施設やキャンプ場、海水浴場などが作られていて、たくさんの人で賑わっていた。また、初山別天文台もあって、口径六十五センチの天体望遠鏡が設置され、一般公開されていた。

 レストランで、少し早い昼食をとる。帯広から来たという家族連れと話をした。「帯広の海は、オホーツクの冷たい流れがあるので、とても海水浴はできません。こちらの日本海は、それに比べると温かくて、波も穏やかで、今日もしっかり泳いできました」と父親が教えてくれる。「海に、くらげがたくさんいて刺されたよ」と、子どもが、刺された跡を見せてくれた。

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 天文台を見学する。「昼なので、星は観測できない」と思っていたが、係の人が、水星を望遠鏡で見せてくれた。水星は、太陽に一番近い星だ。昼間にも観測できることを初めて知った。この天文台は、夜九時まで開館していて、美しい星の観測が、できるということだった。

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 十二時半、岬センターを出発する。国道は、ますます車が多くなっている。町が近くなって来たのか、道に歩道が現れた。

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 午後二時、初山別の街中に到着。今までの町に比べると、かなり小さな町である。郵便局の隣の店で、この町の宿のことを聞くと、岩田屋という旅館しかないということだ。場所を教えてもらい、旅館の玄関を開けて中へ入った。

 「こんにちは。今晩泊めてほしいのですが」と言うと、おばあさんが出て来た。「残念だけど、今日は泊められないんだわ」と言う。「旅館が満員というのではなくて、お盆で、私はちょっと休みたいのだわ。今日も、何人も泊めてくれと人が来るけれど、みんな断わっているのだわ。だから、あんたも断わりたいのよ」と、とても疲れた様子だ。「そんなこと言われても、私は歩いているのです。次の町は、まだ二十キロも先だから、とても歩けません。何とか泊めてください」と懇願したが、おばあさんは、頑として、首を立てには振ってくれなかった。「とにかく、しばらく休憩させてください」と、私は旅館に上げてもらった。

 隣が、酒屋だったことを思い出し、ビールを買いに、外へ出た。自動販売機の前に、自転車旅行をしている若者が、休憩していた。その若者に、北海道の旅について話を聞くと、彼は稚内を目指しているとのことだった。私は、仲間を見つけた気分になり、今まで歩いて来た道の情報を、提供し始めた。

 少し長話になり出した頃、思いがけないことが起こった。車が止まって、「やあ、元気でがんばっていますね」と、二人の男性が降りてきたのだ。よく見ると、手塩の「民宿さとう」で一緒だった測量技師さんたちだった。
「えっ。こんなところで、また再会できるなんて、不思議ですね。よく、私だと分かりましたね」と、挨拶をした。私のことを、しっかり覚えてくれていた二人を、とても嬉しく思った。「今日は、ここで泊まるのですか」と聞かれて、今、旅館で断わられていることを二人に説明した。「それじゃ、次の町の羽幌まで、今から送ってあげましょう。羽幌は、大きい町だから、泊まる宿もたくさんありますよ」ということになってしまったのだ。道を歩き続けるべきなのだろうが、今日は、泊まる宿がなくて困っていた。私は、二人の親切に甘えることにして、旅館に戻り、荷物を持って二人の車に乗った。「羽幌に、泊まることにしました」と話した時に、旅館のおばあさんの表情が、笑顔に変わったことは言うまでもない。
 
 羽幌へ車で向かう。「あなたが、元気にリュックを背負って歩いている姿を、昨日も見ましたよ」と、測量技師さんは言った。羽幌に近づいた所に、大きな風車が、丘の上で回っていた。「北海道には、どんどん風車ができているようですね」と話すと、「今日も、その測量に行ってきたのですよ。羽幌の次の町に、苫前町がありますが、そこには、二十基近く風車が立っています。新しいエネルギーの開発も、急速に進んでいるのです」と教えてくれた。
 
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 二十分ほど走ると、もう羽幌の町だった。あっという間に、羽幌に着いてしまった。車は、本当に早くて便利な乗り物だと思った。二人にお礼を言って別れた。北海道には親切な人が多いのだ。
 
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 午後四時半、石崎ホテルという、少し大きなビジネスホテルに、今日の宿は決まった。素泊まり風呂付きで四千五百円は、安いと思った。荷物を整理し、夕方の羽幌の街中を散策する。羽幌川のすぐ横に、大きな風車が立っていた。その風車を、遠くから見たくて、羽幌の港へ行った。港には、大きなフェリーが泊まっていた。日本海に浮かぶ天売島と焼尻島を結ぶフェリーだった。
 
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 夕日がだんだん西に傾き、空が赤く染まり出した。夕日が沈む所を、もっと近くで見たいと思い、港の先へ延びる突堤を、どんどん歩いて行った。振り向くと、丘の上にある大きな風車が、夕日を受けて、赤く染まりながら、ゆっくりと回っていた。学級の、子どもたち一人ひとりの顔が、目に浮かぶ。まとまれば、すごい力を発揮する子どもたちなのに、みんなで、力を合わせることができないでいた。旅をしている間も、頭の片隅では、いつも、子どもたちのことを考えていた。二学期は、あの子どもたちと、どう取り組んだらいいのだろうか。それは、担任の私にかかっている。その答えを得るために、北海道へやって来たのだった。
 
 そして、北海道を旅して、得たことの一つは、北海道に住む人たちが、とても親切だということだった。よれよれの格好をして、歩いている私に、誰もが親切だった。私が、道に迷ったり、水がなくなったりしたら、助けてくれた。どこでも、「がんばれよ」と激励された。たくさんの人と出会い、たくさんの親切をもらった。名古屋では、体験できないことばかりだった。やはり、そのことを、子どもたちに伝えることが、大切だと思った。

 素晴らしい自然にも、たくさん出会った。宗谷岬、礼文島、原生花園、はるかかなたまで真っ直ぐに続く道、広い広い牧場。スケールの大きな北海道の自然について、子どもたちに話してやりたいと思った。そして、この壮大な北海道で、自然のエネルギーを利用した風車が、回り始めていた。風車の建設に携わっている人たちにも、出会った。今のままでは、やがて石油も石炭もなくなって、車も機械も動かなくなる時が来る。石油やいろいろな化学物質による汚染や環境の破壊も、ひどい状態になっている。「こうした問題を解決するためには、どうしたらよいのか」この課題を、子どもたちにぶつけてみたら、きっと前向きに考えてくれるのではないだろうか。

 北海道で出会った風車は、風力という新しいエネルギーを利用した、未来を切り開くシンボルに見えた。この風車が、子どもたちをまとめる支えになってくれるのではないかと思えた。そのことを、子どもたちに話したいと思った。これが、私の掴んだ答えだった。そして、頭の中にあった、もやもやしたものが、吹っ切れたように思えた。丘の上でゆっくり回る大きな風車に、二学期から子どもたちと取り組むべき課題を、やっとのことで見つけたようだ。

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 夕日は、ずっと沖合にある島影の間に沈んで行った。その島影は、天売島と焼尻島だろう。今回の旅は、もう終了してもいいのでは…。でも、休暇は、まだ少し残っている。せっかく、北海道へ来たのだ。明日は、あの島へ渡ってみようか。また、面白い体験ができそうだ。行き当たりばったりの旅は、実にいいかげんである。
 
 午後八時過ぎ、近くの居酒屋に食事に行く。ビールとホッケの焼き物を注文する。「道を歩いているのです」と言うと、「私の息子は、高校を卒業した後、〝自転車で、日本一周に出掛けるよ〟 と言って出発し、ちょうど一年たった日に、元気に帰って来ましたよ。今は、会社勤めをしていますが、その時の経験は、かなりプラスになっているみたいです」と、女将さんは話してくれた。「今日の夕日は、きれいでした」と言うと、「羽幌に海岸があります。雪が降った日に、誰もいない海岸へ行ったのです。海の上に、霧がかかっていて、ボーと向こうが霞んでいて、それは、それは、幻想的な風景でしたよ。冬の羽幌もいいですよ。ぜひ来てください」と女将さんに誘われた。冬の北海道は、もっと違った表情を見せてくれるのだろう。今度は、冬の北海道を旅してみたいと、思った。
 
 午後九時、宿に帰り、風呂に入った。久しぶりに風呂付きの部屋に泊まった。「風呂に入るのなら、やっぱり、身体がしっかり伸ばせる温泉がいいなあ」と思った。今回の旅行で、温泉が少し好きになったようだ。明日は、また、ドラマチックな旅になるのだろう。北海道の夏の夜の涼しさを感じながら、床に着いた。



[ 2012/07/31 08:25 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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