水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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北海道を歩く Part2 羽幌から札幌へ

第5日 小平から留萌を経て増毛へ 

 昨夜は、国道を走るトラックの振動と騒音で時々目が覚め、ぐっすり眠ることができませんでした。少々けだるいような感じで、四時半過ぎには、目が覚めてしまいました。部屋でぼっとしているのも嫌なので、海岸へ散歩に出掛けることにしました。日曜日の夜を、この海岸で過ごした人たちは、まだテントの中で寝ているようで、砂浜には人影は見えません。今日も良い天気になりそうです。時刻は五時半を過ぎ、浜に人影がボツボツ見え始めました。
昨日浜で遊んでいた子どもたちも起きてきて、波打際で遊び始めました。
「どこから来たの」
「旭川からやって来たの」
元気な声が返ってきました。

 時刻は、六時半を過ぎました。出発の準備をするため、宿へ帰りました。持ち物を整理し、出発の準備をし終えて、食堂へ下りて行きました。そこで、昨晩に引き続き、ハプニングが起こりました。
「えっ、朝ご飯を食べるのですか。あなたの分は、用意しとらんのだけど」
おばあさんは、びっくりしたような声で言いました。てっきり朝食は準備されているものと思っていたので、私の方は、もっとびっくりしました。
「いやー困ったなあ。朝ご飯何とかならんですか」
コンビニ弁当は、勘弁してほしいと思いました。
「簡単なものでいいかね」
おばあさんは、朝食を作ってくれることになりました。生卵、塩鮭の干物、のり、とうふとワカメの味噌汁、スジコなどいろいろな品がテーブールにあっという間に並び、結構豪華なメニューの朝食になりました。この民宿の料金の方は、昨日飲んだビール代を入れて四九〇〇円で、大きなトラブルが二つあったけれど値段の安さに、私は満足しました。

 午前七時半、臼谷海岸を出発しました。ここから留萌の町までは、およそ九キロメートルです。十時前には到着できそうです。海から風が吹いているので、爽やかさは感じますが、予想したとおり、強い日差しが照りつけ始めました。道を歩いていて、昨日と少し様子が違うことに気がつきました。それは、道端に飛んでいる赤とんぼの数が、今日はやたら多いことです。本当に、たくさんの赤とんぼが飛んでいるのです。飛んでいるばかりでなく、歩道にも、たくさんとまっているのです。車に跳ね飛ばされた赤とんぼの屍骸が、道路端に溜まっている所を、何箇所も見ました。時には、生きている赤とんぼを、踏み潰して歩かなくてはいけない所もありました。この日出会った赤とんぼの数を合計したら、きっと何十万匹にもなったのではないでしょうか。歩いているからこそ出会えた風景だと思いました。

 午前九時半過ぎ、大きな建物が、たくさん視界に入って来ました。留萌の町に到着しました。町中に入る手前に、留萌港があります。港には、貨物船やタンカーなどが停泊していました。中古車販売をしている商店があります。外国人が三人ほど、店の人と話をしています。ロシア人のようです。中古車を何台も買って、ロシアへ帰るのでしょうか。北海道ならでの商売です。そういえば道を歩いている時に、「蜜入国者に注意」という立札が、所々に立てられていたのを思い出しました。北海道は、ロシアや中国に近い国境の町なのだと実感しました。
 線路を渡ると、遠くに留萌駅が見えました。しかし、私は、これから増毛に向かって歩いて行くので、留萌駅に向かう手前で右に折れました。黄金岬まで二キロという表示が見えます。少し遠回りになりそうですが、黄金岬で休憩することにしました。

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 午前十時過ぎ、黄金岬に到着しました。「その昔、ニシンの群れがきらきらと黄金色に輝きながら岸に押し寄せたところから、その名前が付いた」と、説明がありました。今は、ホテルが幾つか建ち並び、見晴台からは日本海が望めます。キャンプをしているライダーや家族連れが何組もいました。

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 売店で、不思議なものを売っていました。それはイカの足でした。
「これは、カニ獲りに使うものです」
店のおばあさんが、教えてくれました。海の方へ下りて行くと、家族連れが、イカの足を棒に付けて、カニ獲りをしていました。小さなカニが、たくさんバケツに入っていました。イカの足で、結構たくさんのカニが獲れるものだと、感心しました。

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 午前十時半、黄金岬を出発。しばらくは、国道から離れた海岸線が望める道を歩いて行けそうです。遠くの丘の上に、六本の大きな風車が回っているのが見えました。素晴らし景色です。すぐ近くの林の中を、二両編成の列車が走って行きました。増毛まで行く線路が、歩いている道のすぐ近くにあることにびっくりしました。あわてて、地図を出して調べると、これから増毛までは、線路沿いの道を歩いて行くことになりそうです。

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 十一時過ぎ、きれいな海岸に出ました。たくさんのテントが並び、海水浴を楽しむ人たちで溢れています。浜中海水浴場という案内が見えました。日差しは益々強くなり、汗が滝のように流れます。ズボンも汗でびしょ濡れになり、色が変わっています。そういえば、今日は自転車に乗って旅をしている若者には、まだ一人も会っていません。留萌から増毛へ向かう道は、どうやら彼らのコースにはなっていないようです。

 歩き出して、四時間近くになります。もうそろそろ増毛の町が見えてもよさそうです。小さな町に入りました。道端で休んでいるおばあさんがいます。
「増毛の町はあの辺りですか」
遠くに見える町を指差して尋ねました
「あの町の向こうにある山の裏側が、増毛の町だよ。ここからは見えんよ」
おばあさんは、椅子に座ったまま、静かに答えました。大きなリュックを背負って歩いている私のことを、どう思ったのでしょうか。まだ二時間は掛かりそうです。

 時刻は十二時少し前。食堂を見つけたら、そこで食事にしようと歩いて行くと、ラーメンの看板が見えました。こざっぱりした店で、昨日昼に入った食堂とは大違いでした。いろいろなメニューがあり、隣りの客は、カレイの煮付けと刺身とラーメンとご飯が一緒になった豪華な定食を食べていました。値段をメニューで調べると、一三〇〇円でした。私も食べたく思いましたが、それを食べたら、ビールも飲みたくなるに決まっています。増毛までは、これからまだ二時間は歩かなくてはなりません。酔っ払って歩くには、少し距離があり過ぎます。我慢して、味噌ラーメンを注文することにしました。注文して五分ほどで、味噌ラーメンが運ばれて来ました。ほんのりニンニクの香りがした美味しいラーメンでした。国道沿いで、しかもお昼時であることもあり、店の前に、続々車が停車し、店は客で一杯になりだしました。味よし、店よし、値段よしの三拍子そろった店は、繁盛するものだと思いました。

 店を出て、再び歩き始めました。さらに気温は上がっているようで、遠くを見ると、地面から熱気が立ち上っています。やがて、道は緩い上り坂から、急な坂道に変わりました。おばあさんが、「増毛は山の向こうにある」と言っていた意味が、やっと理解できました。自転車に乗ったおばさんが、坂道を下ってきます。荷物を一杯積んで、ひょろひょろしています。「あの人も増毛へ行く時は、このきつい坂道を上って行ったんだなあ」と思いました。もうすぐ峠に着きそうです。

 少しふらふらしながら、やっとのことで峠に着きました。山の下の方から列車の音が響いてきました。増毛の駅が近いようです。分かれ道になった所で自動販売機を見つけ、冷たいジュースを買って、一気に飲み干しました。その味は格別でした。

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 坂を下った所に、増毛駅がありました。残念ながら、列車は停まっていませんでしたが、次の列車を待つ人が二人、がらんとした駅舎にある椅子に座っていて、終着駅らしい雰囲気を漂わせていました。何年か前に、映画「駅」の撮影に使われたことが、パフレットに紹介されていました。
 今日は、ここに宿泊する予定なので、さっそく宿を探しに出掛けることにしました。駅前に大きな木造の旅館がありましたが、今は営業していないようでした。そのすぐ近くに、「山形屋」という小さな旅館がありました。
「今日は満室です」
あっさりと断わられてしまいました。しかし、「本当に満室だったのだろうか。私の身なりを見て、断わったかもしれない」と私には思えました。そのくらい私はひどい格好で歩いていました。

 「こうなったら、今日の宿は、パンフレットで紹介されている一番始めから電話してやるぞ」という気分になってしまいました。パンフレットで紹介されている一番目は、「ホテル増毛」でした。何だか高級そうでしたが、思い切って電話しました。
「お一人ですか。今キャンセルがありましたので、お受けできます。一泊二食付きで、料金は、本来なら九五〇〇円ですが、八四〇〇円の割安でいいでしょうか」
フロントの声です。一泊二食付きで八四〇〇円とは、信じられない値段です。
「お願いします」
すぐ返事をしました。宿が見つかって一安心です。ホテルに向かって歩き出しました。ホテルは、町の外れにありました。そこまで行く間に、旧い町並みや旧い建物が保存されていました。旧い造り酒屋があり、たくさんの観光客で賑わっている所もありました。

 目ざすホテルは、署寒別川を渡った小高い丘の上に建っていました。増毛では最高級のホテルのようです。日帰り温泉も併設されていて、たくさんの客で賑わっていました。案内された部屋は、三人部屋と大きな部屋で、窓から美しい山並みを望むことができました。クーラーも効いていて、本当に最高の部屋でした。
 温泉に入り、のんびりしながら部屋で過ごし、夕食の時刻になったので食堂へ行きました。テーブルには、もう食事の用意ができていました。豪華な料理が並んでいます。今回北海道に来て初めて出会う豪華な料理でした。ビールを注文し、西の海に沈んで行く夕日を見ながら食べる夕食は、最高でした。もう十分もすれば、太陽は水平線に沈みそうです。何だか今日は、私が今まで見たことのない夕日が見られそうです。夕食を慌てて切り上げ、カメラを持って、海岸へ出かけることにしました。


 小高い丘の上から、カメラを構えている人が何人かいました。私もその一人になって、カメラを構えました。雲一つない水平線に、太陽が沈んで行きます。水平線に太陽の端がかかり、やがて、太陽は半分ほどの大きさになり、そして、ほんの微かに赤い部分が見えるだけになり、やがて、すっかり姿は見えなくなりました。そして、沈んでいったあたりが、オレンジ色に輝きました。昨日見た夕日よりも、今日の夕日は、もっと幻想的な感じがしました。

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 丘からホテルへ帰る途中で、バイクで北海道を回っている青年と出会いました。彼は、今晩この丘でテントを張って寝るとのことでした。私が歩いて旅をしている話をしました。
「えっ、歩いているのですか。ぼくは、ここまで網走から宗谷岬を回って来ましたが、宗谷岬の手前で、リヤカーを引いて旅をしている人に会いました。歩いている人に出会ったのは、おじさんが二人目です」
青年に、すっかり感心されてしまいました。私のような馬鹿をやっているのは、北海道広しと云えども、ほとんどいないということが分かりました。

 ホテルに戻り、明日歩くことになる雄冬岬までの道を確認するため、地図を調べたり、ホテルのフロントで、歩ける道かどうかを聞いたりしました。雄冬岬は、以前、陸の孤島と云われた所で、国道が開通してから、やっと行き来ができるようになった所のようです。しかも、雄冬岬には、宿泊施設が少ないこと、途中、長いトンネルが幾つもあること、国道に歩道はなく、路側帯を歩かなくてはいけないことなどが、分かってきました。今回は、危険を冒してまで道を歩かないと決めていましたので、バスで雄冬岬へ向かうことにしました。
 パンフレットに、民宿が七軒紹介されていましたので、電話で予約をすることにしました。しかし、「明日は満室です」とか、「今は営業をしていません」などの理由で、全て断わられてしまいました。雄冬岬で下車しても、宿泊できないことが分かり、バスに乗車するなら、その先の浜益村まで行くことにしました。
雄冬岬を通ってその先の浜益村へ行くバスは、札幌行特急バスが、朝に一本あることが分かりました。予約が要るようなので、留萌営業所に電話すると、親切にいろいろ手続きを教えてくれ、座席を確保することができました。バスの出発時刻は、増毛ターミナル発八時八分です。
 明日の予定も決まり、その夜は、涼しい部屋でぐっすり眠ることができました。 





[ 2012/08/06 08:03 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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