水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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北海道を歩く Part2 羽幌から札幌へ

第6日 増毛から雄冬を経て浜益へ

 午前七時、食堂へ行きました。バイキング方式の朝食です。朝から豪華な料理が幾つも並べられています。干物の魚を中心に四品ほど皿に盛り、しっかり食べてしまいました。本当に格安のホテルに宿泊できたことは、今回の旅行のよい思い出になりそうです。

 七時半、ホテルを出発しました。昨日夕日を見た丘を下り、七分ほどで増毛バスターミナルへ到着。受付の女性から切符を受け取り、バスがやって来るのを待っていました。時刻は七時五十五分。その時大変なことに気が付きました。携帯電話を部屋の電源に差したままで、忘れてきたのです。
「どうしよう」
慌てる気持ちで、冷や汗が流れ始めました。その時、予定時刻より早くバスが到着しました。「このバスすぐ発車しますか」
「バス発車は、定刻通りです」
運転手は答えました。電話する時間はありそうです。ターミナルにある電話口へ急ぎました。ダイヤルを回す指が少し震えています。
「もしもし、先ほど出発した者ですが、部屋に携帯電話を忘れてしまいました。もう間もなくバスが出発してしまいますので、取りに帰る時間はありません。携帯電話は、私の住所へ宅急便で送ってくれませんか」
とにかくお願いして、電話を切りました。今回最大の失敗をしてしまったことを悔やみましたが、このバスに乗らなかったら、明日まで、バスはありません。携帯電話を自宅へ送り返してくれることを信じて、このまま旅行を続けることにしました。

 時刻は八時七分、発車まで後一分です。その時です。
「増毛ホテルに泊まられたお客さんいますか」
男の人の声が聞こえます。
「はい、私ですが」
「これ貴方の携帯電話ですね。間に合って本当によかったです」
ホテルのフロント係が、携帯電話を届けてくれたのです。まさか携帯電話が届くなんて、信じられないことでした。「ありがとうございました」と言う言葉も忘れてしまうほど、嬉しい出来事でした。電話をしてから、僅かの時間にここまで届けに来てくれたフロント係が、ホテル内で走り回っている様子が目に浮かぶようです。増毛ホテルは、最初から最後まで素晴らしかったという素敵な思い出が残りました。

 午前八時八分、バスは発車しました。雄冬岬へ向かう道は、険しい山道が連続していました。長いトンネルに入りました。トンネル内にも細い歩道が付いているようですが、かなり危険を覚悟して歩かなくてはいけない道のようです。今日バスを選んだことは、よかったと思いました。
 美しい海岸沿いの道を四十分近く走り、バスは浜益村柏木に着きました。降りるのは私一人です。柏木は、大きな海水浴場のある美しい海岸の町でした。砂浜には、テントがたくさん張られていて、海水浴客で賑わっていました。

img8071.jpg

 とにかく、今日の宿を見つけることから始めました。バス停の前にある商店におばさんがいます。
「この辺に宿はありますか」
「浜茶屋がある辺りにたくさんありますよ。そこへ行って聞いてみたら見つかりますよ」
宿が見つかりそうです。日差しが強烈に照り付けた日蔭のない海岸沿いの道を歩いていくと、民宿の看板が見えてきました。
「すいません。今晩泊まれるでしょうか」
寿司屋を経営している店に入って聞きました。
「残念ながら、今晩は泊まれません」
冷たい返事が返って来ました。後で分かったのですが、この店は、今日夏休みで休業することになっていたのです。すぐ隣りに同じように「民宿景浜園」という看板の出ている家があります。
「ごめんください。一人ですが、今晩泊まれるでしょうか」
そうじをしていた若い奥さんが、出てきました。
「ええ、いいですよ。どうぞ」
「今から浜辺で過ごして、夕方来ますからよろしく」
宿の予約を取って、私はリュックを背負ったまま、海岸へ下りていきました。浜辺はもっと暑く、砂は火傷をしそうな熱さです。
今日は、釣りをしたり絵をかいたりしてのんびりと過ごすことにしました。まずは、日蔭を探さなくてはなりません。浜益川を渡る国道の橋の下が日蔭になっています。釣りもその川でできそうです。そこにシートを敷き、横になりました。橋の下は、涼しい風が吹き抜け、夕方までここで過ごせそうに思いました。今日は一日、橋の下で路上生活者をすることになるようです。
 釣り道具を買いに、橋の近くにある、朝、民宿を尋ねた商店に出掛けました。
「釣り竿は置いてありますか」
「餌は置いてあるけど、釣り竿や釣り道具は置いてないんだわ。そうそう、以前来た客の釣り竿があるから、それを貸してあげましょう」
店のおばさんが、奥からわざわざ釣り竿を持ってきてくれました。
「釣り道具は、もう少し向こうにある店で売っているから、そこで買いなさい」
親切におばさんは、そんなことまで教えてくれました。その店で買った餌と、借りた釣り竿を持って、別の店に行きました。その店も、とても親切に釣り道具を探してくれて、一番安い百五十円の釣り道具セットを見つけてくれました。
 さっそく、川で釣りを始めました。いきなり浮きが深く沈み、十五センチ程の魚が釣れました。
「この辺りで釣れるのは、ウグイばかりですよ」
店の人が言っていましたが、どうやらそのウグイのようです。一時間ほどで、十匹近いウグイが釣れました。
 昼近くになったので、近くのコンビニへ昼ご飯を買いに行きました。インスタントラーメンとおにぎりを買い、橋の下で湯を沸かして作り、食べることにしました。今回テントを担いで歩いていたら、こういう生活が多かったのだろうと思いましたが、最初の日に、テントや寝袋を送り返していましたので、これが最初の体験になりました。
 
 img8072.jpg

 腹がふくれたところで、昼寝をし、午後二時過ぎから再び釣りを始めることにしました。今度は、場所を替えて、海水浴場のある突堤の方で釣ることにしました。ここでも、釣れるのはウグイばかりでした。浜は、午前中に比べると、もっとたくさんの海水浴客で賑わっていました。そこへ、母親に連れられて、男の子がやって来ました。何だか釣りに興味があるようです。浮きをじっと見ています。
「坊や、釣りをやってみますか」
「えっ、やらしてくれるの」
男の子の顔が、笑顔になりました。男の子は、小学校五年生で、札幌から家族でキャンプにやって来ているということでした。しばらくして、小さなウグイがかかりました。
「ぼく、魚を釣ったの、これが初めてだ」
本当に嬉しそうな顔で言いました。一時間ぐらい、男の子は釣りを楽しみ、十匹近いウグイを釣り上げました。

 午後四時過ぎ、民宿へ行くことにしました。
「ごめんください」
声を掛けると、朝会った奥さんが、出迎えてくれました。西日の当たらない部屋に通されました。浜辺は海水浴客で一杯なのに、この民宿は、ほとんど客がいませんでした。その日は、私を入れて五人が泊り客だったのです。
さっそく風呂に入って、その後、ビールを食堂で飲みながら、民宿のご主人といろいろ話をしました。
「最近の海水浴場の風景が一変しました。鍋や釜など自炊道具から食料まで全部揃えて車でやって来て、テントを建て、そこで泊まって行く客は増え、浜は賑わっていますが、民宿や旅館を利用する人は昔ほど多くありません」
ご主人は、民宿の経営にいろいろ悩んでいることを話してくれました。
たまたま、泊まり合わせた客が、ペットの犬を連れていました。
「ペットを連れて旅行する人は多いのですか」
「最近、増えてきました。ペットを断わることもできますが、ペットも泊まれるようにいろいろ気を遣っているんです」
新しい時代にあった民宿のあり方について、いろいろ模索している話を聞くことができました。
 話をしているうちに、時刻は五時を過ぎ、そのまま夕食になりました。この日のごちそうは馬糞ウニでした。去年、北海道の礼文島で食べたことがありましたが、この日は、何とそれが二つもついていました。そうめんの澄まし汁にもウニがたくさん入っていて、とても美味しい夕食でした。

img8073.jpg

 今日も、きれいな夕日が見られそうです。午後六時、時刻は少し早いですが、釣り竿を返しがてら、カメラとスケッチの道具を持って散歩に出かけました。
「たくさん、魚が釣れました。本当にありがとう」
釣り竿を貸してくれたおばさんに、お礼を言いました。
「橋の下で、ずっと釣っていましたね」
おばさんが、私の釣りをしていた所を知っていたことに、びっくりしました。地域の人は、よく見ているようです。そのまま釣り竿を返さずに立ち去っていたら、どんなことになっていたでしょうか。
 
 img8075.jpg

 突堤の方へ行くと、地域の若者たちが、水上バイクに乗って遊んでいました。夕日が沈むまでには、まだ三十分近くあるようです。遠くの景色をスケッチすることにしました。しかし、絵を描くのは、やはり私には難しいようです。

img8074.jpg

 太陽が水平線にかかっています。そして、昨日見た夕日と同じように海の中にゆっくりと沈んで行きました。たくさんの人が、この夕日をどんな想いで見つめているのか、それは知ることはできませんが、夕日が、みんなの心を一つに繋げているように、私は感じました。今日もいろいろありましたが、人の親切を感じた一日だったように思いました。








[ 2012/08/07 08:04 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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