片掛の石仏 旧飛騨街道の馬頭観音
片掛集落から庵谷峠への上り口に馬頭観音が奉られている。お供えの花が耐えることはない。地域の人たちが今も大切にお守りしていることが伝わってくる。
昔は、人々の生活と牛や馬は深い関わりを持っていた。田畑を耕し、物を運ぶのにも牛や馬が使われた。物を運んでいた牛が死ぬと大日如来を祭り、物を運んでいた馬が死ぬと馬頭観音を祭ったとのことだ。
片掛大渕寺前の馬頭観音には明治四三年と刻まれている。
六地蔵
大渕寺の門前に六地蔵がある。この地蔵は、片掛銀山の採掘に従事する山方衆の安全を祈願するために峠に立てられていたが、銀山の衰退と共に、長い間そのまま放置されていた。そのため、昭和五十八年に、大渕寺門前にお堂を建て、移設した。現在も地蔵法要を行い、お参りしている。
大渕寺山門脇の三十三所観音
細入にある三十三所観音の一組は、片掛大渕寺の山門脇にある。配列の乱れはあるものの、三十三体すべてが揃っている。
この石仏は、最下に方形の台石、その上に別石による蓮花座を置いて立てる舟光背型の一石一尊仏である。台石を含めて総高約八十センチメートルである。
砂岩系の石材である上に刻みがあまり深くなく、欠損するもの、摩減のために像容や刻字が定かでないものもある。正面下方に台座による「壹番」「拾番」「丗三番」等と札所番号を縦書きに刻む。約半数は光背部に、「大姉」「居士」「信女」「童子」などの法名二人分ずつ刻む。はじめから、同寺山門脇に並べるため、同寺檀徒による寄進であろう。