水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

団塊世代の親父のブログです。
水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記 TOP  >  ふらり きままに >  初冬の北陸路・山陰路 放浪の旅 7

初冬の北陸路・山陰路 放浪の旅 7

山陰路の旅

11月23日(日) 鳥取~米子~境港


 午前4時起床。タバコの臭いで夜中に何度か目を覚ました。今日は少々寝不足気味である。窓を開けると冷たい空気が流れ込んで来た。空にはたくさんの星が輝いていた。今日は天気がよさそうである。洗濯物はほとんど乾いていた。しばらくは大丈夫だ。

 午前7時、食堂へ行く。もう若者たちが朝ご飯を食べていた。昨日と同じように、黙々と食べている。今日は、日曜日なのだが、彼等は仕事のようだ。旅人には、若者たちと同じような仕事をしている息子がいる。出張がよくあり、旅先では安宿に泊っているという。きっとこの民宿のような所に泊っているのだろう。息子もきっと旅先の宿で黙々と食事をしているのだろう。もっといろんな話をしながら楽しく食べればいいのに、そういう余裕が、働く若者たちからは、なくなってしまったのだと旅人は思った。
 
 「お客さん、絵を描いているのだってね」とお上さんが言った。旅人が頷くと、「じゃあ、絵を見せてよ」とお上さんにせがまれた。「駆け出しの絵だけど」と承知して、スケッチブックを見せることにした。「これでも展覧会があるとよく見に行くのよ。絵は描けないけど、見るのは大好きなの」お上さんはそう言って、スケッチブックを開いた。「こういうごちゃごちゃした絵は、私は嫌い。」と余部鉄橋の絵を批評した。旅人もこの絵はよくないと思っていた。「ああ、この絵がいいわ。こういう絵が好きだなあ」山陰の海岸を描いた絵だった。「これ、鳥取砂丘だね。これもいいねえ」と言ってくれた。昨日、描いた絵だった。「これ、どこなの?」と聞かれた。それは、今朝、この民宿の窓から見える風景を描いたものだった。「へー、結構いい景色の所に見えるものだね」とお上さんは感心していた。「がんばりなさい。いい景色を一杯描いてね」と激励された。「出雲の日御崎に橋本という素敵な民宿があるから、そこへ泊るといいよ」と宿まで紹介された。気さくなお上さんは、これからも元気に宿を切り盛って行くのだろう旅人は思った。

IMG_0540.jpg

 午前9時出発、今日は米子辺りまで行く予定だ。国道9号線を猛スピードで走る。車が流れる速さは高速道路のようだ。美しい日本海が右手に広がっている。昨日ほどの波ではないが、高い波が打ち寄せている。「白兎」という地名の所を走る。「いなばの白兎」の伝説が残る所なのかもしれない。この道のずっと先に出雲大社がある。日本書紀に登場する神々の話が、この山陰の海岸にはたくさん残っているのだろう。

IMG_0541.jpg
 
 大きな風車が2本、丘の上にそびえている。休憩を兼ねて寄って行くことにした。「潮風の丘とまり」という案内板が立っている。大きな公園で、芝生広場や遊園地、食堂などもあり、その中に風車も立てられているのだった。日曜日で家族連れが公園を散策していた。丘の下には美しい日本海が広がっていた。村の予算を投入して建設した施設なのだろう。やはりここも赤字が累積して行く施設のように思えた。

 再び車を走らせる。鳥取県のことをほとんど知らないので、見学したい所が浮かばない。このまま米子まで走りそうである。時刻はちょうど12時。「道の駅」があるので、そこで昼食にする。昼食は、卵入りうどんを作ることにした。レンジを取り出し、出し汁を沸かし、その中へうどんを入れた。卵を入れる。そろそろ出来上がりだというころになってガスの火が消えそうなことに気が付いた。燃料が切れかかっているのだ。ガスボンベの予備は持っていなかった。今日は、どこかでボンベを買わなくてはいけないと思った。しかし、特殊なボンベだから、店を見つけるのに苦労しそうだと思った。ベンチに座ってうどんを食べた。暖かい太陽の下で食べるうどんは美味しかった。 

 「道の駅」の売店をのぞく。この土地の特産品はないか見て周ると、長芋がたくさん並んでいる。大きな箱なりで売っているものもある。この地方は「長芋」が特産なのだ。今まで見たこともない巨大な長芋もある。1本700円。「安い」と思った。土産にしても長持ちしそうなので買い求めた。もちろんケチケチ旅行をしている旅人は、お得で一番安いものを買った。それは折れた長芋を集めたものだった。旅人らしいお土産になった。

IMG_0544.jpg

 午後1時「道の駅」を出発。左手に高い山が見えてきた。山陰を代表する山だ。頂上が平らで、木の切り株に似た形をしている。立山連峰とは違った形をしていた。山頂は雪に被われ白く輝いていた。美しい山だった。田んぼが広がって見通しのいい所を見つけ、車を停めた。休憩を兼ねて山をずっと眺めていた。

 米子市に近づき、国道は渋滞し始めた。日曜日の昼下がりということもあり、買い物に出る車や行楽帰りの車で、渋滞はますます激しくなって行く。米子市は大きな町のようだ。この分だとガスボンベが見つかりそうだ。そんなことを考えながら車を走らせていると国道沿いにホームセンターが見えた。「ここならきっとありそうだ」そう確信して店に入った。広い店内で少し苦労したが、「スポーツコーナー」で目的のガスボンベを見つけることが出来一安心。またしばらくは自炊生活ができそうだ。

 国道の渋滞は一層ひどくなり、全く車が進まなくなった。「事故でもあったのかな」と思っていたのだが、原因は事故ではなく、「ジャスコ」に入る車の渋滞に巻き込まれたのだ。大型ショッピングセンターが出来たが、道路の改善が進んでいないために渋滞を起こしているのだ。大型ショッピングセンターが出来るということは、こういう問題が起きるということを認識した。

 時刻は午後4時近くになっていた。そろそろ今日の寝場所を見つけなくてはいけない。地図を見ると、この先に、隠岐へ行くフェリーが出港している境港港がある。そこなら、きっといい寝場所がありそうだと思った。国道の道路標識にも「こちら境港」とはっきり出でいる。迷わずに行けそうである。行き先を境港とし、車のスピードを上げた。

IMG_0549.jpg


 夕暮れの境港港に到着した。地図で見てもよく分からないが、とにかく町の中をうろうろ走り回った。最初に行ったのが、漁港にある大きな魚市場だった。市場には小さな店がずらりと並んでいた。ほとんどの店が片付けを始めていたが、何軒かはまだ品物を並べていた。お客さんたちがそういう店に集まっていた。やはり主役はズワイガニだった。北陸から山陰までずっと漁港を見てきたが、今の時期ズワイガニがたくさん獲れるのだ。今年は豊漁で値が下がっているという話だが、日本海は本当に豊かな海だということを認識した。

 次に行ったのが、釣り桟橋だった。釣り桟橋といってもここは貨物船が停泊する埠頭だった。まだ、何人かが釣りを楽しんでいた。アジを狙っているということだったが、当りがない様子だった。「ハゼやキスも釣れるよ」と親父さんが教えてくれた。「明日はこの近くで釣りをやってみよう」という気になり、釣具店を見つけて餌を購入した。餌はアオムシにした。再度キス釣りに挑戦するつもりだ。

 細い道を進んでいくと視界が開け、前方に大きくて立派な建物で、灯りがきらきらと光っていた。それは隠岐行きフェリーターミナルだった。まだ出来て間もない感じのようだ。この境港市のシンボルのような建物なのだろう。高いタワーも併設されていて、展望台は有料になっていた。その横にJR境港駅があった。周辺は大きな公園になっていた。その公園の外れに境港漁港があり、そこには夜釣りを楽しむ人の車も何台か停まっていた。近くにトイレもあるので、今夜はここを寝場所と決め、車を停めた。

 近くのスーパーでハマチの刺身と野菜の煮物とおにぎりとビールを買った。再び、薄明かりの下での夕食になった。すぐ横の桟橋では、夜釣りの親子が、大物をねらってリールを投げていた。その姿を眺めながら夕食を食べる。寂しい夕食といえばそうなのだろうが、人が羨むような放浪の旅をしているのだから、これは、贅沢な夕食なのだ。港を挟んだ向かい側は島根県。いよいよ明日は島根県に入る。境港の夜は静かに更けて行った。



[ 2012/12/02 06:41 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム