水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

団塊世代の親父のブログです。
水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記 TOP  >  スポンサー広告 >  ふらり きままに >  初冬の北陸路・山陰路 放浪の旅 8

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

初冬の北陸路・山陰路 放浪の旅 8

山陰路の旅

11月24日(月) 境港~松江~大社


 朝4時に目を覚ました。「よくもまあ、そんなに早い時間に目が覚めるねえ」と人は驚くが、これでも睡眠時間は、7時間は取っている。寝る時刻が早過ぎるだけなのだ。老人になると皆そうなのかも知れない。老人になったからと言っても、決して睡眠時間が短くなるのではない。就寝時刻が早くなるのである。スイッチをひねると、いつものように「ラジオ深夜便」が流れていた。

 トイレも兼ねて、散歩に出掛ける。まだ辺りは真っ暗であるが、埠頭に泊っている漁船には灯りが付いて、人が動いている。漁に出掛ける準備をしているようだ。釣りをしている人を見つけた。少し突き出た桟橋の片隅で、じっと光る浮を見つめている。「釣れますか」と声を掛けた。小さなバケツの中でバシャバシャと音がする。のぞくと、大きな魚が跳ねている。「すごいですね」と言うと「これはコノシロだよ。捨てるのももったいないから泳がせているのさ」と釣人は笑っていた。コノシロがこんなに大きくなるということを初めて知った。「何を狙っているのですか」と聞くと「スズキやアジが釣れるというので来たのだけど、さっぱりです」という返事だった。それにしてもこの寒い中、夜通し釣りをする人がいるのには驚く。「釣りキチ」というのは、こういう人を言うのだろう。

 午前6時を過ぎ、東の空が少し明るくなってきた。空が黒色から紫色に変わり、美しい朝焼けが見られそうである。埠頭からは、境港と対岸の町を結ぶアーチ型の大きな橋も見える。長い橋脚の間から赤い太陽が顔を出すのだろうか。白々と光る漁船のライトも港の中を移動し始めた。朝を迎え、港も活気を帯びて来たようだ。

IMG_0551.jpg

 東の空が紫色から黄色に変わり、やがてオレンジ色も混じるようになって来た。濃い紫色の山や海や橋脚のシルエットの向こうに輝く東の空。影絵を見ているような美しい景色だった。やがて真っ赤な太陽が顔を出すと待ち構えていたのだが、太陽はもっと右手の高いビルの陰から顔を出したようだ。日の出の太陽を見たいという期待は実現しなかった。

IMG_0552.jpg

 湯を沸かし朝食の準備を始めた。ガスボンベが新しくなり、火力が強くなった。あっという間に湯が沸いた。新品はこうだから嬉しい。続いてうどんを作った。いつもの定番なので、今朝はインスタント味噌汁を出汁に使った。卵とネギを入れ本格的な味噌煮込みうどんになった。おにぎりもあり、腹一杯になった。美味しい朝食だった。
 
 午前8時出発。今日は松江から宍道湖岸を走って出雲大社へ行く予定にした。のんびり走っても着けそうな距離である。どこかでたっぷり釣りを楽しもうと思っている。「境水道大橋」を渡り、島根県に入る。「美保関町」という道路標識がある。岬の先端に「地蔵崎」という景勝地があるというので、行くことにした。岬へ通じる道は細くて曲がりくねり、対面通行の所もある。「関の5本松」という案内標識が立っている。聞いたことのある名前だが、思い出せない。そこを通り過ぎ、さらに道は細くなった。少し広くなった所に車が何台も停めてある。釣人の車のようだ。小さな港の防波堤の上にたくさんの釣人の姿が見えた。この辺りで釣りをするといいのだろう。

IMG_0553.jpg

 しばらく走ると「地蔵崎」に到着した。岬には小さな灯台もあり、その周りが遊歩道になっていた。まだ朝が早いというのに、たくさんの観光客が歩いていた。この辺りでは有名な景勝地なのだ。美しい日本海が眼下に広がっていた。風はないが、白い高波が岩肌を打ち付けている。昨日の余波なのだろう。観光客が下の方を指差している。「何かいるのかな」と思って見ると、高波が打ち付ける岩礁に人がいるのだ。魚釣りをしているのだった。大波が来ればさらわれそうな所で、よくもまあ釣りをしているなあと驚いた。観光客は皆、呆れ顔で見ていた。世の中には命知らずの人がいるものだ。「釣りキチ」とか「釣りバカ」とか言うけれど、ああいう人はもっと違う言い方をするのだろう。

IMG_0554.jpg



 岬から、来た道を戻る。旅人も魚釣りを楽しむことにした。もちろん安全な防波堤である。ここは、行きに見た、たくさんの釣人がいた漁港だ。釣り竿とクーラーボックスを持ち防波堤へ行った。2人の親父さんが釣りをしている横で釣ることにした。仕掛けを準備していると、隣の親父さんの竿がしなり、魚が掛かったようだ。大きなコノシロが上がって来た。バケツの中では、アジもたくさん泳いでいた。ここは釣れそうである。アオムシの餌を付け投げ込んだ。旅人はキスを狙っているのだ。しばらくして、コツンと当りがあった。リールを巻くと、見事、大きなキスが付いて来た。旅に出て初めて釣ったキスだった。

 少し離れた所では、3人の若い女性が釣りをしていた。女性だけで釣りに来ているのだから、釣りの風景も変わったと思う。モゾモゾ動くアオムシとかイソメを触るのも平気でなくはいけないし、魚を手で触って針から外さなくてはいけないのだ。それも平気なのだからすごい。一番困るのがトイレだと思う。男ならその辺ですれば済むのだが、若い女性ではそれはできない。どうしているのだろうか。トイレが近くにある釣り場を選んでいるのだろうか。そう思っていたら、女性の1人が車に乗って出掛けて行った。なるほど、トイレのある所まで走って行けばいいのだ。納得した。

 釣人たちが騒いでいる。「何が起こったのかな」と思っていたら、鍵手のような物を持って1人の釣人が走って行った。しばらくして、巨大なイカを抱えて釣人が帰って来た。「観音イカ」を捕まえたのだ。浪打際で泳いでいた観音イカを見つけ、引っ掛けて来たのだという。大きさは80cm近くある。さっそく女性グループが観音イカを抱えて記念撮影をしている。楽しい風景だ。皆が見ている中で、釣人がイカを解体し始めた。一緒に釣りに来ている友だちと分けるのだそうだ。ナイフを入れると巨大な内臓が現れた。足と胴体を切り離し、解体作業は順調に進んで行った。釣人のナイフ捌きが上手なのに皆感心する。しばらくして、見事に、大きなイカが三つに分けられた。素晴らしい解体ショーを見ることが出来、女性たちは大満足だったようだ。

 時刻は午前11時、魚釣りを終了することにした。成果は、キス3匹、セイゴ1匹、コチ1匹だった。大した成果ではなかったが、目的のキスも釣れたし旅人は満足した。海の向こうに雪を被った大山が見えていた。美保湾と白い大山、美しい風景だった。

 時刻は12時。松江に向けて車を走らせた。途中、コンビニで弁当を買い、駐車場で食べた。美味しい幕の内弁当だった。コンビニ弁当もかなり進化しているようだ。松江市内に入る。島根県の県庁所在地である。3車線の広い道を一路松江城へ向かう。松江は都会だった。松江城の駐車場に到着したが、満車だった。観光客がたくさん来ているようだ。しばらく待ち、駐車場に入る。

IMG_0556.jpg

 駐車場から天守閣へ続く道を歩いて行った。旅人の目的は、天守閣をスケッチすることだ。天守閣が見えれば、そこでスケッチするのだが、入場料を払わなければいけないようだ。大きな門を抜けると、そこに入口があった。入場券を買うために、観光客が、自動販売機の前に列を作っていた。もちろん旅人も列の後ろに並んで順番を待っていたのだが、受付の人が、観光客に大声で何かを叫んでいる。「入場券は、ここではいただきません。天守閣の入口で見せてください」と言っているのだ。「何、入場券は、天守閣の入口で見せろ」旅人はどこか変だなと思った。よく考えたら、「ここで販売している入場券は、天守閣に上るためのもので、天守閣を見るだけなら、入場券はいらない」ということになるのだった。もちろん、天守閣のスケッチが目的の旅人は、すばやくその列から離れ、スタスタと天守閣の見える公園へ歩いて行き、その公園でスケッチを始めたのだが・・・。旅人の解釈が正しかったかどうかは、受付の人に尋ねた訳でないので分からない・・・。ひょっとしたら法律に違反していたのかもね・・・。松江城は気品のある美しい城だった。城を短時間でスケッチするのは、大変難しいということを旅人は痛感した。

 松江城の見学を終え、出雲へ向かう。宍道湖に沿う国道9号線を走る。親父さんと上さんと旅人の3人でこの辺りを旅行したことを思い出した。我が家も少しゆとりができ、親孝行を兼ねての旅行だった。秋芳台、萩、出雲、松江城を見学し、宍道湖の見える温泉宿に泊った。宍道湖に注ぐ川でシジミを採っている漁師がいた。今でもその川ではシジミを採っているのだろうか。そんなことを考えながら走っていた。その時「玉造温泉」という道路標識が目に入った。昨日は風呂に入っていなかったこともあり、そこで、日帰り温泉を見つけることにした。車の旅はこういうことが出来るから面白い。

 国道から離れ、小さな川に沿って上って行った。やがて大きな旅館が建ち並ぶ所へ出た。そこが玉造温泉だった。親父たちと泊ったのは、ここではなかったようだ。タクシー乗り場を見つけ、運転手に日帰り温泉を教えてもらう。「玉造温泉ゆーゆ」という立派な建物だ。何処へ行っても公共施設が立派になり、日帰り温泉も各自治体に一つはあるようになり、旅行者には大変ありがたいのだが、施設が立派なのには驚かされることが多い。ここもそうであった。会議室やレストラン、ホールなどが併設され、太陽光発電システムを採用したガラス屋根という案内もある。最上階が風呂になっていて、その中でも打たせ湯や泡風呂、サウナなどがある露天風呂が素晴らしかった。休日ということもあり、たくさんの人で混んでいた。玉造温泉のお湯は、無色透明だった。この温泉は、出雲風土記に登場しているというから、かなり旧い歴史があるということだった。時刻は午後3時半を過ぎていた。もうのんびりしてはいられない。すっきりした気分になり、出雲大社に向けて出発した。

 薄暗くなり始めた道を走っている。遠くに出雲大社の社が見えて来た。時刻は午後4時半。出雲大社の見学は明日にして、この先にある日御崎灯台に向けて車を走らせることにした。そこに「橋本」という素敵な民宿があることを鳥取砂丘の民宿のお上さんに紹介されていたのだ。旅人は、「今晩は、そこへ泊ろう」という気分になっていたのだ。「満室で泊れません」ということになれば、車で寝ればいいのだから。

 岬へ向かう道は、細くて曲がりくねっていた。ここも例外ではない。ゆっくりカーブを曲がる。後ろから、派手な色の乗用車が走って来て、凄いスピードで追い抜いていった。命知らずの若者だった。旅人も若い時には無茶をしていた。若者だからああいう暴走ができるのだろう。

 すっかり暗くなった日御崎灯台に到着した。灯台の前は広い駐車場になり、たくさんの車が停まっていた。車のナンバーに他府県のものが多い。どうやら、釣り客の車のようだ。今から「橋本」という民宿を探さなくてはいけない。

 幸運にも、灯台の横に観光案内所があり、灯りが点いている。さっそく旅人は案内所に入って行った。「この辺りに橋本という民宿はありませんか」受付の女性に声を掛けた。「橋本ですか。聞いたことありませんね」と女性は言った。「鳥取の人に紹介してもらったのですが」と旅人は答えた。女性は、地図を開いて、いろいろ調べてくれたが、橋本という民宿は見つからなかった。「あきらめよう」と思っていると、「それでは、他の民宿ではどうですか」と親切に言ってくれるので、頼むことにした。

 ところが、女性が電話しても「今日は、部屋はありません」という返事ばかりが帰って来るのだ。「お客さんがいて満室ではなく、3連休のお客さんが、やっと帰ってくれたので、民宿は骨休み」ということなのだ。7軒近く掛けても、全て同じ返事だった。「もういいです。車で泊りますから」と旅人が言うと、「ここまでやったのですから、もう少し頑張りましょう」と女性は明るい調子で言った。それから、5軒ほど電話をした。「えっ、いいですか」女性の声が高くなった。ようやく民宿が見つかったのだ。日御崎大社のすぐ横にある「御崎屋」という民宿である。女性に何度もお礼を言って、案内所を出た。本当に親切な女性だった。薄汚れた風体の疲れた旅人を哀れんでくれたのかも知れない。

 「御崎屋」は小奇麗な民宿だった。2階の広い部屋へ案内された。客は旅人1人である。きっと昨夜までは、泊り客で一杯だったのだろう。驚いたのは、料理を部屋まで運んで来てくれることだった。旅館という感じだ。さっそく夕飯が運ばれて来た。旅に出て初めて味わう豪華な料理だった。魚づくしのご馳走だ。ヒラマサの刺身、カワハギの煮付け、カレイの唐揚げ、カマスの塩焼き、サザエの壷焼き、モズク酢、それにキスの吸い物である。旅人が、今日釣り上げたキスだった。それが吸い物として出て来たのだ。粋な計らいだ。食事も終わり、腹も満腹になり、アルコールも回り、眠気が襲って来た。早々に敷いてもらった布団に潜り込んだ。今晩はぐっすり眠れそうである。


[ 2012/12/03 17:56 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。