水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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「青春18きっぷ」で山陰・九州を巡る旅 3

第二日目 城崎~長門市 山陰本線 

 十二月十二日、火曜日。午前五時半起床。テレビの天気予報では、今日は雪模様になるという。窓を開け、外を見たがまだ真っ暗である。ひょっとして雪が積もっているのではないかと思ったのだが、積雪は見られない。洗面を終え、六時二十分宿を出発する。親切だった宿のご主人が股式姿で見送ってくれる。城崎温泉街は幅の狭い大谿川に沿うように延びている。川の渕には柳が植えられ、街燈に枝が照らされて温泉街らしい雰囲気を漂わせていた。
 
 六時半過ぎ、城崎駅に到着。列車の発車まで待合室で待つことにした。待合室の椅子に男が一人寝ている。昨日の余部鉄橋のハプニングでここに泊ったのかと思った。そしたら、いきなりその男が起き上がって私に話し掛けてきた。「この駅に泊るようになってもう二週間目だ。四国からここへ友達を頼って出てきたのだが、職が見つからなくてとうとう、駅で泊るようになってしまった。毎日職安へは行くのだが、仕事がなくてね」とその男は言った。厳しい現実が聞こえてきた。事実上私も現在は無職の身なので人事でないように思った。その男より私の方が身なりは、もっと酷い格好をしているだ。
 
 列車の到着時刻になったのでホームに出た。駅員に昨日の余部鉄橋の話を聞くと「鉄橋が通れるようになったのは最終列車が走る十一時過ぎでした。一時は二五メートルを超える風が吹いていたのです。今日は大丈夫です」と教えてくれた。定刻通り六時四九分、城崎を浜坂行普通列車は発車した。

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 夜が明け、辺りの景色がはっきり見えるようになり、日本海の美しい青色が目に飛び込んできた。風が強いためか白い波頭が立ち、海は荒れていましたが、空は明るく今日はこの美しい海を眺めながらの旅になるのかと嬉しくなった。

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 柴山で中学生がたくさん乗車して来た。一般客の姿は車内にほとんどなく、この列車は通学列車としての役割を地域で果たしているようだ。鎧に着く。断崖の上に駅があり、海が下の方に見える。向かいのホームに三十人近い小学生がいる。一人の母親がむずがる子どもを説得している。あの子は学校へ行くのを嫌がっているようだ。彼らは香住の小学校へ通っているようだが、本来ならこれだけの人数ならこの地域に小学校があってもいいのではないかと思った。きっと数年前までは小学校があったに違いない。全国的に小・中学校の統廃合が猛烈な勢いで進んでいるが、この現実には腹が立つ。

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 昨日渡れなかった余部鉄橋を列車は渡って行く。この鉄橋の橋桁の高さ四一.五メートル、長さ三〇〇メートルで余部の町並みが鉄橋の上から小さく見える。景色は最高である。
 
 七時五四分浜坂着。八時三分発鳥取行普通列車に乗り換える。高校生の一団が乗って来る。この列車も乗車しているのは学生ばかり。働き盛りの人はJRにはほとんど乗らないようだ。天気もよくなり、美しい海岸線を列車は走って行く。ぼっと景色を眺めるうちに鳥取に到着した。
 
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 次の列車が発車するまでに一時間近くあるので、朝食を取るため途中下車する。駅にも食堂があったが、駅前商店街で見つけることにした。大きなビルが建ち並び大都会である。ファーストフードの店やコンビニなどもある。朝食五百円という看板が見える。喫茶店のようにも見える感じのよい食堂である。中に入るとアルバイトらしい女性が注文を聞きに来た。メニューを見ると、朝食でもいろいろある。和定食Bを注文した。しばらくして届いた定食は、塩鮭、おでん、煮物、納豆、味噌汁といろいろおかずが付いていて驚いてしまった。追加したコーヒーも百円と割安ですごく得した気分になってしまった。
 
 九時五十分鳥取発出雲市行快速列車とっとりライナーに乗車。車内はほぼ席が埋まっている。老人や主婦に交じってサラリーマンの姿も見える。列車は美しい海岸沿いを走って行く。倉吉を過ぎ、列車の左側に白く雪を被った美しい山並みが見えて来た。大山である。伯耆富士の名があり山陰のシンボルになっているとパンフレットに説明が載っていた。大山は薄っすらと雪が被る程度でこの辺りは日本海側といっても比較的温かい地方のようだ。日本海と大山に挟まれた細い平野を列車は走っている。空から見たらさぞかし美しい風景だろうなあと思った。

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 十二時二七分列車は出雲市に到着した。ここで浜田行普通列車に乗り替える。列車は一両編成のワンマンカーになった。車内はほぼ満席である。昼食の時間だが、ホームに売店はなく、購入するのを諦める。昼食は浜田に着いてからになりそうだ。海のすぐ横を列車は進む。青空も見え始め海の色が紺碧になり美しい。江津を過ぎた辺りで、木々の間に真っ赤な色をした漆の葉が目に付くようになる。まだこの辺りは紅葉が終っていないのにびっくりした。すっかり冬を迎えた富山県細入村を昨日出発し、日本列島を南下するに従ってだんだん季節が逆戻りしていることに気が付いた。これから九州へ向かう旅の中で、季節が更に逆戻りするのだろうか。タイムマシーンに乗った旅がこれからこの小さな列車の中で体験できることに感動していた。

 十四時五一分浜田着。駅の売店でアンパンとつまみの竹輪とビールを買う。十五時十四分発益田行普通列車に乗車。美しい海の景色を見ながら食べる遅い昼食は美味かった。

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 十六時四分益田に到着。大きな町である。益田は江戸時代に石見地方の中心として栄えたと説明がある。十六時二四分発長門市行普通列車に乗り換える。黄色いボディーの二両編成の列車である。こういう黄色い列車を見たのは今回が初めてである。もちろんワンマンカーである。今日は下関まで行く予定だったのだが、少々疲れが出てきたので、この列車終点の長門市で宿泊することにした。列車は家に帰る高校生でほぼ満員になった。列車が走り出し、どこからかタバコの臭いが漂ってきた。遠くを見ると男子高校生のグループが窓を少し開けて、タバコを吸っているのが見えた。昨日からずっと列車に乗ってきて、男女を問わず、高校生の態度の悪さに驚くことがしばしばある。嘆かわしいが現実である。

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 十八時二一分列車はすっかり暗くなった長門市に到着した。まずは今夜の宿を見つけなくてはならない。遠くにビジネスホテルのネオンも見えるが、駅前に古い旅館がある。駅前食堂も兼ねているようだ。入口の戸を開けるとお上さんが忙しそうに料理を作っていた。「お一人さんですね。料金は素泊まりで四六〇〇円です」と即座に返事が返ってきた。二階に何室も部屋があり、その一番手前に案内された。。昔、映画で見たことのある駅前旅館という表現ピッタリの旅館だった。客は私一人であった。食事は下の食堂で済ませることにした。刺身定食とビールの夕食だったが、疲れもあったのだろうか、あまり美味しくなかった。コンビニで朝食のおにぎりとインスタントの味噌汁を買い旅館に戻る。風呂に入り、明日の予定を立て、午後九時過ぎには床についた。明日はいよいよ九州に入る。



[ 2012/12/12 05:28 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(1)
いいですね
[ 2012/12/13 06:46 ] [ 編集 ]
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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