水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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「青春18きっぷ」で冬の東北から北海道納沙布岬へ 5

第4日 北海道洞爺~北海道襟裳岬  (函館本線・日高本線・JRバス日勝線)

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 1月10日(水曜日)午前6時起床。窓の外はまだ薄暗い。目の前に広がる湖面は静かだ。雪ではなく雨が降っているようだ。朝風呂に入りに行く。広い風呂場は誰もいない。露天風呂に行くと、細かい雨が降っていた。肩まで浸かると心地好い湯の温かさが肌に伝わって来た。今日は苫小牧から列車とバスを乗り継いで襟裳岬へ行く予定でいる。その計画を立てなくてはと、風呂から上がった。

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 風呂からの帰り、階段の窓から外を覗くと噴煙を上げる有珠山見えた。ホテルのすぐ近くに有珠山があるのに驚いた。噴火でまだ閉まったままになっている建物も幾つかあるとタクシーの運転手が言っていたが、温泉街に直接被害が及ばなくてよかったなあと思った。有珠山の活動がこのまま終息することを願った。

 7時過ぎ食堂へ行く。バイキング方式の朝食である。10人ほどの客がすでに朝食を摂っていた。バイキング方式の朝食はついついおかずを取り過ぎてしまう傾向がある。漬け物、納豆、鮭の干物など少なめに取ったつもりなのに、ご飯の所に行き着いた時には、皿がおかずで一杯になっていた。貧乏人だとすぐ分かる。食事を終え、食後のコーヒーも飲み部屋に帰る。

 9時過ぎフロントで支払いを済ませる。「これを記念にどうぞ」と支配人が写真をくれた。ホテルの屋上から写した有珠山の写真だった。有珠山の噴煙を積極的に売り出そうという意気込みが伝わって来た。

 ホテル前から路線バスに乗車する。国道を迂回し、新しくできた道をバスは走って行く。まだ工事中の所が多く、時々停車したが、夏までには立派な道路が完成するのではないかと思った。バスの中から見える有珠山に向かってシャッターを切る乗客が何人かいた。洞爺湖温泉は確実に復活しつつあるようだ。洞爺駅でバス代320円を払う。昨日のタクシー代の約十分の一だ。やはり公共機関は安い。洞爺駅で新しい青春18きっぷを購入した。今日1月10日が発売最終日だった。
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 9時52分洞爺発東室蘭行普通列車に乗車する。1両編成のワンマンカー。車内は老人や中高生で満員だ。とても座れないと思っていたのだが、不思議とボックスシートの1部が空いていて座れる。降っていた雨も上がり、風が強くなり始めたようだ。青く広がる海が見える。大きな白波が幾つも立っている。沖合いは大荒れの天気になって来たようだ。

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 10時46分東室蘭に列車は到着した。苫小牧行まで1時間の待ち時間があので、外を少し歩いてみようと駅前に出る。びっくりするような強風が吹いている。風に身体が持って行かれそうなほどの風である。早々に退散して再び駅の待合室へ戻った。

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 11時57分東室蘭発苫小牧行普通列車に乗車する。3両編成のボックスシート型である。ワンボックスを確保し、ゆったりと座って、美しい海と美しい山を見ながらの列車の旅は続く。今、走っている白老駅とこの先の沼ノ端間駅の間28.7キロメートルは日本最長のJR路線直線コースという説明が本に載っている。空から見たら果てしなく続く真っ直ぐの線路が見えるのだろうか。

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 12時58分列車は苫小牧に到着した。ここは昨年の夏、名古屋からフェリーに乗ってやって来た町だ。ひょっとしたら、この旅の帰りはここからフェリーに乗るのかもしれないなあと思った。次の列車まで1時間20分、駅前で食事にすることにした。駅のすぐ横にダイエーがある。そこで食堂を探して食べようかと思った。大きなリュックを担いで歩いて行く。しかし、見つけた食堂は混んでいて、大きなリュックが邪魔になりそうだ。諦めて、外の通りで店を見つけることにした。  

 外は、相変らず身体が吹き飛ばされそうな強風が吹いていた。道の雪が凍りついていて滑りそうだった。中華料理店が見える。あまり入りたくない感じの店だった。もっと他に店はないか、何度も滑りそうになりながら歩いて行った。遠くに大きな煙突が何本も見える。王子製紙苫小牧工場のようだ。探す飲食店は見当たらない。諦めて、さっきの店に入ることにした。ガラス戸を開けると、昼時だというのに中には客が1人だけだった。「ああ、また失敗したか」と思った。塩ラーメンを注文した。従業員とお上さんの2人が店を切り回している。お上さんがラーメンを作り始めた。何だかラーメンを茹でる湯の温度が低そうに感じた。しばらくして注文のラーメンが届いたが、予想した通りの味だった。
 
 午後2時過ぎ苫小牧駅に戻る。今晩の宿は襟裳岬。今までのように大きな駅ではない。前もって宿を予約することにした。時刻表から「えりも観光ホテル」を見つけ電話を掛ける。「今晩ですが、泊まれるでしょうか」「ええ、空いていますからどうぞ。お車でみえるのですか」と電話に出た女性が聞き返してきた。「いえ、様似からバスで行くつもりですが」「えっ、バスで来るのですか。そんなバスがありましたかね」と再び聞き返された。「いや、時刻表で調べたから間違いなく行けますが、到着は7時過ぎです」と答えて電話を切った。再度時刻表を開いて調べたが、確かに様似から接続するバスが走っていた。「そんなバスがありましたかね」と電話の女性が驚いていたのが不思議だった。さて、本当に無事行けるのだろうか。

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 14時21分苫小牧発様似行普通列車に乗車。1両編成のワンマンカーだ。日高本線は太平洋岸に沿って、苫小牧と襟裳岬の手前、様似を146.5キロメートルの長さで繋いでいる。普通列車しか走っていない線路だ。列車は3時間半を掛けてのんびり走る。走り出してすぐに太平洋が見え出した。強風で大波が立っているのが見える。朝よりも波が高くなって来たようだ。静内を過ぎ、波打際を列車が走って行く。大波が線路の橋脚にぶつかり、海側の窓にしぶきがかかってくる。列車さらに速度を落としゆっくり進んで行く。ひょっとしたら波を被って脱線するのではないかという心配もあるほどだ。日高本線とは自然と真正面から対峙して走っている線路だとこの時知った。普通列車しか走らない訳が納得できた。

 新冠を過ぎた。聞いたことのある名前の駅だ。周りに広い牧場が広がっている。パンフレットを開いて調べると、この辺りはサラブレットを育てる大牧場がたくさんあると説明があった。「○○日高牧場で育った馬で…・」と競馬放送で聞いたのを思い出した。

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 真っ赤な夕日が太平洋に沈んで行く景色も見ることができ、3時間半の列車の旅を満喫し、午後6時終点様似で下車した。駅前からバスがあるのだろうか。待合室に茶髪の中学生が5人ほど遊んでいる。タバコを吸っている者もいる。ちょっと面倒なことにならなければいいがなあと思いながらも、困っていたので彼等に聞いてみることにした。「襟裳岬まで行くバスはあるのかな」「ああ、そのバスなら俺達も今待っているんだ。叔父さんはどこへ泊まるの」と茶髪の男の子が聞き返してきた。「えりも観光ホテルだけど」と答えると、「あっ、そこなら私の家の近くだ」と女の子が頷いていた。「あっ、バスが来たよ」と中学生たちは駆け出した。何とバス停は駅から少し離れた所にあり、もうバスが停まっていた。

 18時10分様似駅発襟裳岬行JRバスは発車した。「今日は何処へ泊まるのかね」とバスの運転手が聞いてきた。「えりも観光ホテです」と答えると「それなら襟裳市街で降りるとすぐ目の前にあるよ」と親切に教えてくれた。真っ暗な海岸沿いの道をバスは走って行く。道に雪が積もっていて凍結している。時々、バスの後ろが滑っている感じが伝わってきた。北海道を走るバスの運転手は大変だなと思った。40分ほど走って襟裳の町に着いた。中学生たちが降りて行った。襟裳岬はもうすぐだ。

 バスが丘を上って行く。急に風が強くなり出した。猛烈な風が吹いているようだ。ビュービューという音が聞こえる。台風の中を進んでいる感じだ。バスの車体が風で揺れ始めた。ひっくり返ってしまうのではないかと恐ろしくなった。椅子の手すりにしがみついていた。「灯台口」で高校生らしい子が降りて行った。真っ暗で何も見えないが、こんな突端に家があるのだろうか。「お客さん着きましたよ」と運転手がバスを停めた。バス代1300円を払うと「このバス停の向かえに観光ホテルはあります」と親切に教えてくれた。

 ホテルはバス停のすぐ前にあった。ドアを開けるとフロントに女性が立っていた。このホテルの奥さんだった。「今晩は。電話で予約した者ですが」「いらっしゃいませ。お待ちしていました」と出迎えてくれた。1泊2食付きで8500円だった。「今日は朝から風が吹いているのです。夕方26メートルを記録したと言ってましたよ」と教えてくれた。案内された部屋は、2階の特別室だった。大きなベッドが2つあり、ソファーやトイレ、風呂も付いていた。他にも部屋はあるようだか、トイレは共同になっているようだった。こんな真冬にここへやって来る客はほとんどいないから、特別室を用意してくれたのだろう。

 食事は奥さんが部屋まで運んでくれた。2晩続きで豪華な料理に恵まれた。外は相変らず強風が吹きつづけていた。窓のガラスがガタガタと音を立てている。カーテンを開けると暗い海が窓の外に広がっていた。丘の上で明るい光りが回転しているのが見えた。襟裳岬灯台の明かりだった。

 食事を終えてから、ホテルの風呂へ行った。先客が一人いる。私と同じように旅行している人かと思ったら違っていた。下の港で埋め立て工事をしている人だった。「今日は凄い風が吹いていますね」と言うと「この辺りは、冬にはいつもこんな風が吹いていますよ。波と風とに気を付けながら仕事をしているのですが、ひどい時は仕事は休みですよ」と話してくれた。厳しい自然の中で働いている人がいるのだ。部屋に帰ってから、家に電話をした。「襟裳岬は台風波の風が吹いているんだよ」と話すと「今日は朝から雨が降っていて、あれだけあった雪もかなり溶けてしまったわ」とかみさんの穏やかな声が聞こえて来た。雪から少し開放されたかみさんのほっとした気持ちが伝わって来た。明日は帯広から釧路へ行く予定だ。北海道の旅もあと僅かでゴールの納沙布岬だ。



[ 2013/01/06 08:11 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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