水彩画で綴る  細入村の気ままな旅人 旅日記

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「JR北海道フリーきっぷ」で行く「道東」冬の旅 5

第4日 2月17日(日) 網走 

 午前6時起床。朝風呂に行く。誰もいない広い風呂に一人でゆったりと入った。
 午前7時過ぎ、食堂へ行く。テーブルに朝食が用意してあった。納豆、塩鮭、蒲鉾、海苔、豆腐の味噌汁などが並んでいた。食べ終わると、旅館の親父さんがコーヒーを持って来た。美味しいコーヒーだった。「今日は、ワカサギ釣りに行かれるのでしたね。天気はいいし、日曜日だからたくさんの人で賑わうでしょう。大漁を期待していますよ」と親父さんは言った。「足の防寒だけはしっかりして出掛けます」と2枚重ねて履いた靴下を見せた。親父さんは、「ハッ、ハッ、ハ」と笑っていた。「午前中だけの釣りになりそうです。初心者ですから、期待しないでください」と私は言って部屋へ戻った。
 
 午前9時過ぎ、スケッチブックを持って旅館を出発した。釣りをして、絵も描こうというのだから少し欲張っているようだ。網走湖は白一色で、深い雪に覆われていた。下には厚い氷が張っているのだろう。この雪を取り除けば、スケートを楽しむことができるのだろう。

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 国道の歩道を10分ほど歩いた所にワカサギの釣り場があった。小さなテントが幾つも建ち、たくさんの人が釣りを楽しんでいた。受付で1700円のお金を払い、釣り竿と餌(サシ)と魚をいれるビニル袋を貰った。釣り竿だけがレンタルだった。大きな穴あけ機を持ったアルバイトの青年が釣り場まで案内してくれた。

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 青年は、穴あけ機のエンジンを動かして穴を開け始めた。見る間に氷に大きな穴が開いた。氷の厚さは60cmくらいだそうだ。それから青年は釣り方の手本を見せて、「子どもでも釣れますから」と言って立ち去って行った。

 すぐに手応えがあり、10cmほどのワカサギが釣針に掛かって上がって来た。「子どもでも釣れますよ」と言っていた通りだった。また、手応えがあり、ワカサギが釣れた。調子がいい。周りの人も、同じようにワカサギを釣り上げていた。何時の間にか10匹ほどワカサギを釣り上げていた。

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 釣り場には次から次へと釣り客がやって来た。日曜日ということもあって家族連れがほとんどだ。その多くがアルバイトの青年の世話になっていたが、中には自分専用の手動穴あけ機を持って来る人もいた。周りに張ってある小さなテントもみんな自分たちで持ちこんでいるのだということが分かった。ワカサギ釣りは網走の人たちの楽しい冬のレジャーになっていた。

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 ワカサギ釣りには波があるようだ。順調に釣れていたワカサギが全く釣れなくなった。周りの人もじっと氷の穴を見つめている。そして、再びアタリがあり、釣れ始めるのだ。ワカサギは広い湖を回遊しているのだそうだ。そういう繰り返しが何度もあった。すぐ隣で釣りをしていた青年が、小さなカレイを釣り上げた。網走湖は淡水ではなく、塩水なのだろうか。不思議な出来事だった。やがて、本当に釣れなくなってしまった。時刻は11時を過ぎていた。釣れたワカサギは30匹ほどになっていたので、釣りを止めて旅館へ帰ることにした。

 旅館のフロントに親父さんがいたので、「ワカサギが釣れました」と袋を渡した。「いやあ、大漁ですね。今晩、天ぷらにして出しますから楽しみにしていてください」と誉められた。大漁ではなかったが、無事ワカサギを親父さんに渡すことができホッとした。

 12時15分発網走バスセンター行に乗車し、網走駅へ向かう。ドジなことに下車を間違え、終点のバスセンターまで行ってしまった。運賃は280円。バスは安い乗り物だと思った。バスセンターから大通りを歩いて網走駅へ向かう。何度もこの大通りを歩いたので、網走の町の様子がだいぶ分かって来た。途中、中華料理店で味噌ラーメンを食べた。美味しさを期待していたのだが、残念だった。

 13時29分網走駅発「知床斜里行」普通列車に乗車した。北浜駅まで行って帰って来る予定だ。昨日と同じように車内はガラガラだった。たくさんの人が網走へ観光に来ているのに、普通列車に乗って旅をしている人はほとんどいないのだ。海の見える方の座席を確保し、流氷の見えるのを期待しながら車窓の風景を眺めていた。トンネルを抜け、海が見えて来た。白い流氷は昨日よりも、もっと沖に見えていた。小さな駅を過ぎても、海は青いままだった。もうすぐ北浜駅に着くというのに、流氷は遥か沖に見えるだけだった。「流氷は風向きが変われば、あっという間に流れて行ってしまいます。だから、流氷というのです」とバスガイドが話していたことを思い出した。本当にその通りだと思った。接岸している流氷を見に来たのに、それが見られなくて本当に残念だった。列車が北浜駅に到着した。私と中年の夫婦連れと中年の男性が同じように列車を下りた。

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 小さな北浜駅の駅舎の中にはいろいろな切符がびっしりと張りつけられていて、奇妙な光景だった。高い天井にも一杯貼りつけてある。
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 北浜駅が「網走番外地」の映画の舞台になったことは、昨日聞いたが、なぜ切符が貼ってあるのだろうか。「ここへやって来た」という記念として、観光客が貼って行くのだろうが、それをJRが黙認している所が面白いと思った。駅舎の中には小さな喫茶店があり、営業していた。たくさんの人がこの駅を訪れるから営業が成り立つのだろう。

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 北浜駅から線路を渡って海岸へ下りて行くと、取り残された大きな流氷の塊が海岸に打ち上げられていた。触るとカチカチの氷の塊だった。そこへ先ほど一緒に列車を下りた中年の男性が歩いて来た。「流氷を見に来たのですか」と話し掛けた。「毎年東京からこの北浜駅へ、流氷を見にやって来ています。今日は流氷が見られなくて残念ですが、この海が見られて満足しています」と男性は言った。この人は網走にハマッテしまったのだと思った。

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 海岸でスケッチを描いていると、面白い形をした列車が網走方面から走って来た。北浜駅に停車したので、見に行った。3両編成の列車でたくさんの人がホームで記念撮影をしたり、駅に作ってある展望台に上って海を眺めたりしていた。

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 「流氷ノロッコ号」という臨時列車だった。車掌さんと運転士さんがホームで話している。「たくさんの人が乗車していますね」と話し掛けた。「流氷を見にやって来る人のために走らせています」と運転士さんが言った。「この駅の展望台もそのために臨時に作ってあるのです。10分間停車時間がありますから、みなさん結構楽しんでいますよ」と車掌さんも言った。「駅舎の中に貼ってある切符は凄いですね」と言うと「何時頃からか切符がたくさん貼られるようになって、それが結構話題を呼んでいるみたいで、撤去できなくなったようです」と車掌さんは苦笑していた。発車時刻になり、「流氷ノロッコ号」はたくさんの観光客を乗せて駅を去って行った。

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 帰りの列車までまだ1時間半近くあるので、トーフツ湖へハクチョウを見に行くことにした。国道を10分ほど歩くとトーフツ湖の湖面が見えて来た。小高い丘の上に展望台があるので、上ってみることにした。雪が積もった坂道を上って行くと視界が開け、トーフツ湖や知床の山並みが見えるようになった。展望台でスケッチを描いると、一緒の列車に乗っていた夫婦連れが展望台へやって来た。「仕事を退職したので、夫婦で全国を旅しているのです」と旦那さんが話してくれた。「昨日は流氷が海岸まで来ていたのですよ」と話すと「流氷が見られなくて残念ですが、ハクチョウをしっかり見てきましたから、満足しています」と奥さんは言った。夫婦連れは、記念撮影をして展望台を下りて行った。

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 スケッチを描き終り、展望台からトーフツ湖のハクチョウたちを見に行った。岸辺はたくさんの観光客で賑わっていた。ハクチョウたちも投げ与えられるパンを相変らずついばんでいた。

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 帰りの列車の時刻が近づいてきたので駅へ戻った。列車が来るのを北浜駅で待っていると、観光バスが停まり、たくさんの人が下りて来て、駅舎の中で記念撮影をして帰って行った。それが一度や二度ではなかったのだ。駅舎の切符が撤去できない理由がよく分かった。

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 15時47分北浜駅発「網走行」普通列車に乗車した。車内はかなり混んでいた。「流氷ノロッコ号」に乗っていた人たちだろう。網走駅へ戻り、駅前からバスに乗った。薄暗くなった午後5時過ぎ、旅館へ帰った。今日も充実した1日だった。

 温泉に入り、すべすべした肌になって部屋へ帰った。残された日数はあと3日。時刻表を開いて、明日からの計画を立てた。次の目的地は襟裳岬である。襟裳岬へ簡単に行けると思っていたのだが、時刻表を調べると、そんなに簡単でないことが分かって来た。とにかくこの網走から遠い。距離にして400km以上あるのだ。そして、襟裳岬から札幌までもかなり時間がかかることだった。残された3日で襟裳岬を回って札幌へ行くコースを作ってみると、明日の6時42分網走駅発「釧路行」普通列車に乗らなければいけないことになった。明日はタクシーを呼んでもらわなくてはいけないようだ。去年泊った「襟裳岬観光ホテル」に電話したら「どうぞ」という返事をもらった。明日の宿も決まり、すっきりした気分で食堂へ行った。

 ビールを注文し、食事を始めた。今日の料理にも特に北海道を感じさせてくれるものはなかった。「ワカサギの天ぷらが出来ましたよ」と親父さんが籠を持って来た。白い衣を被ったワカサギが山盛りになっていた。「まだ、お代りができますよ。大漁でしたから」と親父さんは言った。食べると、少し甘味があり、あっさりしていた。並んでいる料理の中ではこれが一番美味しかった。「網走港でチカという魚がたくさん釣れていましたが、あの魚も天ぷらにして食べるのですか」と親父さんに聞いた。「チカは天ぷらにして食べても美味しくなんかありませんよ。網走湖のワカサギは美味しいでしょう」と親父さんはにこにこ笑っていた。「カレイが釣れた」と話すと「あれは川カレイだ」と素っ気無い答えだった。

 食事を終わり、旅館の勘定を精算した。2泊で19000円だった。明朝6時にタクシーをお願いし,部屋へ戻った。少々飲み足りない気分だ。自販機でビールを仕入れ、飲み直した。明日は朝から晩までずっと列車に乗ったり、バスに乗ったりして420kmの長旅になる。天候は下り坂だというのが少し心配だが、無事襟裳岬へ着けることを願いながら床へ着いた。


[ 2013/01/14 08:12 ] ふらり きままに | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

細入村の気ままな旅人

Author:細入村の気ままな旅人
富山市(旧細入村)在住。
全国あちこち旅をしながら、水彩画を描いている。
旅人の水彩画は、楡原郵便局・天湖森・猪谷駅前の森下友蜂堂・名古屋市南区「笠寺観音商店街」に常設展示している。
2008年から2012年まで、とやまシティFM「ふらり気ままに」で、旅人の旅日記を紹介した。

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