その19 延命地蔵堂 笠寺観音境内西門を入ってすぐ左側に三つのお堂が並んでいるが、その真ん中にあるのが「延命地蔵堂」である。地蔵菩薩がお祀りしてある。
寺の沿革史によれば、享保十四年(1729)慈雲院第六世覚宣再建とある。
地蔵菩薩について
地蔵菩薩の「地蔵」というのは、サンスクリット(梵語)の「クシティ・ガルバ」ということばを漢訳したものである。クシティは「大地」の意で、ガルバは「胎」とか「蔵」と訳されている。つまり、「大地の母胎」ということを意味している。この地蔵菩薩は、インドの大地の神の一種で、財宝をつかさどる神であったというのが定説である。
地蔵菩薩について辞書を引くと、「釈尊が入滅されてから、弥勒菩薩が下生して仏になるまでの間、無仏の世界に住んで六道の衆生を救済する菩薩」と説明されている。菩薩とは道を求めて修行中の身をさすことばであるから、厳密な意味では、お地蔵さまや観音さまは仏ではない。しかし、広い意味では、菩薩、明王、如来などをまとめて仏ととらえているから、お地蔵さまを仏と呼んでもいっこうにさしつかえない。
『地蔵菩薩本願経』によると、お地蔵さまは、衆生を救うために十の誓いを立てている。
1.土地が豊穣で作物に恵まれる
2.家内が安全である
3.亡くなったら天国に生まれかわる
4.現世ではできるだけ長生きできる
5.願いごとがよくかなう
6.水火の災難がない
7.過ちやさわりを除く
8.悪い夢を見ることがない
9.旅行しても無事である
10.仏にめぐり会うことができる
これを見ると、お地蔵さまは墓地や災害現場、水子の供養などで建立されてはいるが、庶民の心をよく酌みとってくれる現世利益の仏さまであることがわかる。
「お地蔵さまのお話」IC-netより